第50話

「いらっしゃいませ。ご注文お伺い致します」


あれから3ヶ月が経った。


美憂は生後半年になり、寝返りができるようになり、まだ拙いが単語を話せるようになった。


「まーま」


「ちょっと待ってね〜。350円のお返しです。ありがとうございました」


お客さんが帰り際に美憂に手を振ると、ニコニコと笑う。


感情表現も豊かになった。


夜泣きはまだひどいが、昼間は比較的に楽しそうにしている。


「お疲れ様〜詩由ちゃん。賄い用意したから食べてね」


「明日香さん、ありがとうございます」


私は売り場から出て、エプロンを解いた。


つい先月、やっと部屋が決まり引っ越しをした。


次は仕事を探さなきゃと思っていた矢先に、このお弁当屋さんの前を通った。


求人募集のチラシを持っていた明日香さんに声をかけられ、そのまま働き始めた。

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