鞄島戯曲

空空

夏期講習

1年2組

「はー」

「お、こんちは。この間、キミの相方が明け方に押しかけてきて度肝抜かれたで。借金の取り立てがきたのかと思ったわ。図体デカいやろ、彼。っちゅーか、先生は生まれてこの方、借金とは無縁やったわ。財布の中は常に閑古鳥が鳴いとるけど」

「ほんで」

「キミはどないしたん? 夏休みの宿題お手伝いサービスは、今日はもう午前中で閉店でっせ。午後から受験生向けの夏期講習やんねん。はー。先生も夏休み欲しいわー」

「え?」

「夏休みはあげられへんけど、昼休みは付き合うてくれるん?」

「はは」

「せやね、ずーっと教室に缶詰はあかんわ。おうおう。せやった、職員室の冷蔵庫にな、でっかいスイカも隠しとんねん。それも出したろ。あとは水鉄砲に、ビニールプールにそれから諸々」

「楽しい昼休みになるで!」

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