第4話
そんな樫に、恋をしているのかもしれないと気づいたのは2学期始めの体育祭だった。
借り物競走で、樫が引いた紙を見た直後迷う事なく私の元へ来て、一緒に来て欲しいと頼まれた。
何が書いてあるのか教えてもらえなくて、よく分からないまま一緒にゴールまで走ったことがあった。
ゴールした後で紙は審判の子に渡されてしまったから何が書かれてあったか分からないままだっただけだ、後から香がその紙に書かれてあった言葉をこっそり教えてくれた。
『1番仲のいい女子』
確かに仲は良かったと思う。香達のデートに付き合わされて一緒に遊びに行くこともあったから。
でも、たまに付き合わされる相手が私で良かったのかなと思った時も正直あったから、樫の中の私の立ち位置がハッキリ分かってホッとして、だけど同時に少し寂しくも思った。
1番仲のいい女友達だけど、友達以上にはなれないのかなって思ってしまった。
友達以上になりたいと……思ってしまった。
それが私の初恋を自覚した瞬間だったと思う。
樫とはそれからもなんら変わる事なく仲よく過ごしていた。
他の女子から向けられている羨望なんかも分かっていて、少しいい気になり過ぎていたのかもしれない。
あの日、それを思い知らされた。
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