第46話

「初めてだよ。キスしたのも、こうして抱きしめたのも、全部お前が初めて」



伊吹の胸の中にすっぽり抱き締められて、彼からの告白を驚きの中聞いていた。



「ひ、樋野さんは?」



頭の上から響く、伊吹の声はじわじわと脳髄を侵食していく。



「樋野って……さっきも言ってたな?偶然あの店で出会って、クリプレ選ぶのに付き合ってたけど?」



「え、嘘……だってさっき、自分はクリパ出る資格ないって……それって彼女が出来たって事でしょ?」



「お前がここにいるのに行く意味ないだろ……それに、わざわざ他の男が居る所にお前連れて行くの嫌だし….…」



あ、ダメだ。もう、頭に響く声に身体迄痺れて来た。



「でもっ、私の返事聞いてないくせにっ……」



まるでもう付き合う事が決まってるみたいな口振りだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る