第18話

「先生…もう木曜日を開けなくていいです。」




吐き出すように言った。




「三月?」




ペコッと頭を下げ、クルリ踵を返す。




「三月、」




振り向かず、鍵を開けて、扉の外へ出た。




「言えた…」




言い終わって見れば、なんて呆気ないんだろう。




廊下を歩き始める。




自分の足音以外に響く音はない。




当たり前だ。なにを期待したの?




先生には痛くも痒くもない話じゃない。




きっとすぐに、別の木曜日の相手が見つかるはず。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る