「あの、高田くん」

始業式が終わり、クラスのホームルームが終わった後、後ろの窓際に座っている高田くんに声をかけた。

後ろを振り返って、声をかけたのが私だと気づくと彼は途端に睨んできた。

「なんだよ。俺、アンタと口利きたくないんだけど」

不機嫌をあからさまにして、高田くんはそっぽを向いてしまった。

「高田、どうしたん？アンタがそこまで嫌うなんて、この人なにかしたの？」

高田くんの隣に座っていた女子が、怪訝そうな目を私に向けながら高田くんに声をかけた。

「わ、私は別にっ」

「市原には関係ねーし」

「もー、相変わらず愛想なしなんだから。で、ええと、誰だっけ？」

高田くんに素気無くされて溜息をつきながら、市原と呼ばれた女子が、こちらに声をかけてきた。

「わ、私……御門いろはです」

「御門さん？なんかよく分かんないけど、今高田超絶機嫌悪いから、話すんなら日を改めた方がいいよ」

「そう、します」

仕方なく自分の席に戻った。

カバンからスマホを取り出して、それに繋がっているストラップを手の中で見つめる。

あの日、会えなくなってからずっと宇野くんからもらったストラップが心を慰めてくれていた。

宇野くんに会いたいよ。

学校に来れば会えると思っていたのに、会えないどころか彼が存在していないなんて。

一体何がどうなっているんだろう？

誰に聞けば彼のことが分かるんだろう。

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