第10話

「彼は誰時に行きたいです」


マスターにそう言うと、奥へ通される。


実は店内には隠し扉があって、今の言葉を言うと、そこから長い廊下を通って奥の部屋に行ける。


夜顔に来る一部の人の、さらに僅かな人のみしか知らない。


防音になっていて、中の声は外に聞こえないから、秘密事項を話すのに最適な場所。


あたし達はよくここで計画を立てている。


「何か、情報入った人」


祐樹の問いに、香音とあたしは首を振った。

祐樹もないらしい。


「あたし、今日はさ……バーに行こうかな」

「どこの?」

「もう分かってるくせに」


にやりと口角を上げる。


「トランプ、だよ」

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