モンスターズ 4
病院へ辿りついた金堂は、特徴のあるフルオート射撃音を聞いて溜息をつく。
「人見さん、暴れてんなあ」
そのまま、車を投光機の光が輝く公園の向こうまで走らせると、死体の山を見て顔を歪めた。
「うわあ。……ご機嫌ですね、中尉。かたずけどうするんです?」
「シラネ」
人見は、死体をわざと大げさに踏みつけながら、車へと歩く。
「お気楽なんだから」
「何言ってやがる。このどうにもならない状況を憂慮していますわ」
「嘘つきは泥棒のはじまりですよ? その古臭いトンファーは、どこから拾って来たんです?」
「かっこいいでしょ? 病院の警備室にあったの」
助手席のドアが開き、人見の軽い体がシートに収まるのを見て金堂は車を出した。
「こりゃ、かなりの大事件ですね。世界各国のトップニュースになるかも」
「水害で数十人が被害に遭ったってのが? ちょっと期待しすぎじゃないの?」
「しかし、殉職警官達には敬礼を」
「そうね、みんなよく戦いました、っと。――九ミリ弾ある?」
「どうかな……ひと箱あったかなあ? 俺のは四十口径なんで。アジト、戻りますか」
「そうだね。こりゃ山ほど弾が要りそうだから」
二人の乗った車が走り去ると、紺のトレーニングウエアを着た中学生ほどの少年が隣の建物から出てくる。少年は倒れたやくざの一人に歩み寄り、その傍らにしゃがみ込む。そして、その手に握られたままの拳銃をその手から引き剥がし、それをポケットに突っ込むと、その場を立ち去った。
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