第10話
あたしは歩くのをやめ、和のいる方を向く。
すると和は走ってあたしのところまでやってきて、「やっぱりね」と呟いた。
「え…?」
「なんか…さ。花、俺に追いかけてきてほしいんじゃないかなって思って。それで、わざと追いかけなかった」
「…っ」
確信犯。
彼のことをそういっても過言ではないと思う。
いつもそう。
例えばケンカしても、あたしが折れることになるの。
それが悔しい。
でも…許しちゃうの。
それはあなたが好きだから。
ねぇ…今も、あたしの心臓、こんなにバクバクしちゃってるの。
それも…あなたはわかっているの…?
わかっていて、そんな顔、するの?
酷いよ。和は。
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