第23話

「どうして…」


「紙に書いたじゃん。“校門で待ってて”って」


「だって、あれは、クラスメートのいたずらで…」


「いたずらなんかじゃないよ。俺が頼んだ」


「じゃあ、ほんとに、秋元くんのお兄さん…?」


「そうだよ」


「…全然似てない……」


「よく云われる。…それより、茉吏子」


「なに…?」


「やっぱり、俺、お前の“一日限定彼氏”なんて最初からむりだったんだ」


「類…?」






「…俺、お前とずっと一緒にいたい。…だめかな?」





「………」


「茉吏子…?」


「…だめなわけじゃないじゃん。あたしだって…ずっと会いたかったんだから~…」




涙するあたしを軽く抱きしめ「ごめんな。ありがとう」と呟いた。










彼からは、あのときと同じ、タバコと香水の混ざった匂いがした。







fin.

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