第50話
真鬼と多鬼とともに刹鬼様の執務室へ。
ブラコンは
「ブラコン呼びて」
ケタケタと多鬼に笑われる。
「奥様は間違ってません。あの野郎、毎度毎度奥様にケチつけやがって」
「「……」」
真鬼ちゃん、お口が悪くなってるわよ?
あの野郎って。
笑ける。
おもわず笑ってしまう。
鍾鬼様はもうすでに中に入っておられるはず。
「風邪なんて引いて、兄上の手を煩わせるなよ。クソ嫁が」
そんな言葉を残して、サッサと行かれましたから。
え?
冷静ですねって?
フフ。
わたくし、クソブラコンと違って大人ですから。
「しっかりと根に持ってる。しっかりと」
「……多鬼?」
「何でもないッス!!」
でも……
軽口を叩いているけれど、障子の外からでもわかる。
中の空気が張り詰めていることに。
何事でしょうか。
気を引き締める。
「刹鬼様、丁です」
「入れ」
声をおかけすると、すぐに返事を返して下さいました。
「失礼致します」
わたくしを先頭に一礼して、真鬼と多鬼も同じように続く。
真っ先に目に飛び込んできたのは愛しい刹鬼様。
しかしその表情は優れない。
自然と私の表情も険しくなる。
そして刹鬼様のすぐ横に陣取って座る鍾鬼様。
“そこはわたくしの場所ですが?”
“フンッ”
目が合った鍾鬼様と表情も声も出さず、刹鬼様に悟られぬよう火花を散らす。
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