第2話

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今朝目覚めると朝食が終わる頃に昨日と同じ女医が部屋を訪れ、

励ましの言葉をくれた。


「あなたがどうしてそんな行動まで起こすことになったのか

今日来てもらうことになっているご家族にいろいろとお話を伺えば、

だいたいの理由が掴めるのではないかと私は思っています。


 私はあなたの味方よ。


あなたの内包している悲しみや苦しみが小さくなるよう

手助けしたいと考えているわ。このことだけは忘れないでね」と。




今日は自分に関りのある家族が会いに訪れると聞く。

まだ誰の顔も思い出すことができない。

どんな顔ぶれと遭遇するのだろう。



昨日の話からして、私に進んで会いたいと思っている者など

誰ひとりとしていないだろう。


私の両親は怒り泣き出すだろうか、それとも……。


朝目覚めた時から先ほどまであれこれ考えを巡らせたものの、

実際に起きることなどその時になってみなければ分からないのだからと、

途中で考えることを手放放棄した。


そして……その時はやってきた。



予め聞いていた通り、両家の両親が自分を見舞う為病室に入ってきた。


実の両親が誰なのか、すぐに分かった。

母親が一切の遠慮のない視線を私に投げかけてきたからだ。


義両親は遠慮がちでいて、だからといってそれは距離をとっているだけで

私に遠慮など本当はしてないような微妙な態度だった。


そりゃあそうだろう。自分の息子に襲い掛かった女なのだ、自分は。 

うまく怒りを隠してはいるが彼らの本心は怒りで打ち震えていることだろう。


だが人が人をナイフで刺すなどと、よほどのことがなければそういう行為には

至らないだろうと思う。


だから自分にちゃんと記憶が戻るまでは彼らに対して身を小さくしていることは

やめるつもりだ。


でもまぁ、人様の息子の身体に切りつけたようなので、最終的には謝罪が

必要なのだろうなぁ、と薄ぼんやり考えるに至った。


 でもそれは今日じゃない。



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