勝ちヒロインに転生したけど、私はヒロインが大っきらい!
リサ
第1話 ヒロインに転生
「やっと仕事終了…終電、間に合うかな…」
私、星乃 月華はブラック企業で働く会社員。そして今日も、終電ギリギリの時間まで仕事。何回も仕事を辞めたいって社長に言ったけど、だめだった。こんなに働いたのにお給料がそうめん1袋分…最悪。もう無理とか思いながら部屋を出ようとした。
「働き過ぎて頭痛い…」
そう思った瞬間、体の力が抜けて、倒れ込んだ。これ、無理なパターンじゃん。こんなん、死ぬよ。せめて、乙女ゲームの逆ハールートのクリアスチルだけでも見たかったな…そう考えたあと、私の意識は完全に飛んだ。
「どこ、ここ。」
目が覚めるとそこは見知らぬ部屋だった。いやいや、そんな漫画みたいなことある?とか考えてると、急に頭痛がおきた。そして、今までのこと、全てを思い出した。前世で死んだこと。そして、今は、ルナ•フィー•シルク。シルク男爵家の長女。そして、ここは前世でプレイしていた乙女ゲームの世界でルナは愛されヒロイン…ってそんなことある⁉ふざけないでよ!てか、私、この愛されヒロイン大っきらいなんだけど!だって、なんでいじめられて黙ってるの?なんで言い返さない?そんなヒロインに惚れる攻略対象もきらい。魔法に優れてるからって、なんで公爵令嬢のフィナとの婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約するの?訳わかんない!乙女ゲームでは、男爵令嬢のくせに王子達と親しいからいじめられるんだけど?これ、王子達のせいだよね?なのになんで、正義のヒーローみたいに助けてんの?あんたのせいだって。そんな王子と婚約させられたフィナがかわいそうだよ。この邪魔なヒロインのせいで悪役令嬢にされてさ。フィナだって魔法に優れてる。それプラスで身分も高い。成績優秀だし、王妃教育は学生の身ですでに終了、そんでもって美人!もう、言う事無しじゃん!そっからさらにプラスして、王子達と親しいヒロインに堂々と文句言えるとまできてなにが不満なんだか。よし、決めた。私、ヒロインになんかならない。悪役令嬢になってやる!絶対、フィナを不幸にはさせない!
「そのためにはまず勉強!そっから魔法!あとは…剣術!幸い私はまだ7才。入学式は13才。つまり今から6年後。頑張るぞ!…言葉づかいかえよっ!えっと、確かフィナは…」
えーと、うんーととか唸っているうちに思い出した!じゃなくて、思い出したわ!…これで完璧!
「よし、勉強は図書室でしましょ!」
そう思った私は図書室に向かった。
「地理、算数、国語、科学…全部揃いましたわ!まず算数から…ん?これ、簡単すぎないかしら。でも、これは13才の勉強…前世でもうたくさんしましたわ!えっと、国語…も大丈夫そうね。科学…も、大丈夫。地理は…さすがに歴史は違うわね。でも、地理だけでいいなら楽勝よ!」
「はっ!面白くて読みふけってしまったわ!もう夕方⁉はやく自室に戻らないと!」
私はメイドが部屋に来る前にと、急いで部屋に戻った。
「体力づくりも大切よね…とりあえず、腕立て伏せを100回しようかしら。1、2、3…」
「200っと。ついつい200回にしてしまったわ!体調管理も大切ですわね。今日はもう寝ましょ」
「今日は魔法!まずは図書室に行きましょう!」
「…魔法の理屈を話されてもわからないわよ…」
これで10冊。書かれてたことは全て、魔法はイメージ!ってことだけ…。
「そうだわ!外で試して見ようかしら!」
名案だと思った私はすぐさま庭に行った。
「火…は危ないわね。なら…水にしましょう!」
水が出て打つのをイメージして…
「『ウォーターボール』!」
み、水よ!じゃあ、次は…
「『ウィンドカッター』!」
風っ!風だわ!
「やった!」
今日はこのくらいにして、地理でも勉強しようかしら。前世ではこんなことするひまはなかったんだもの。今世をめいいっぱい楽しむべきよ!
「ふあ~。っといけない。悪役令嬢たるもの、いつでも気を抜いてはいけないわ。今日は…剣術を学びたいし、お父様にお願いしましょう!」
「失礼します。お父様、私に剣術を学ばせてください!」
「だめだ。」
「…何故ですか?」
「はあ、こんな当然のこともわからないのか…さすがの出来損ないもそれくらいわかるだろう?お前は女だ。それに合わせて出来損ないときたら、学ばせる理由はない。」
「そんな…」
「話しはそれだけか?」
「…はい」
「じゃあ、もう出てけ。顔も見たくない」
はあ~。やっぱり、自室は落ち着くわね。にしても、あれほどお父様が私のことがきらいだなんて…想定外よ。いくら双子の妹のルシアナが優秀だからって、出来損ないはひどいわ!…ルシアナはユーシー男爵家のルカの婚約者。ルカは男爵家の身分で王子と友達。タメ口で話す仲。そんなルカの婚約者のルシアナはさぞ誇らしいでしょうね。
「いいな…」
はっ!ダメダメ!悪役令嬢たるもの、人を羨んだりしてはいけませんっ!…絶対、ルシアナを超えてみせるわ!…よく考えてみたら、別にお父様の許可なんて必要ないわね。庭で自主練よ!
「剣、用意してなかったわ…作ってみますか!」
まず、木を用意して…
「あーして、こーして、あーして…出来たっ!よーし!まずは素振りっ!」
「500っと。もうこんな時間っ⁉も、もう夕食が来てしまうわ!」
私は全力で走った。
「セーフっ!」
「ルナ様、お食事をお持ちしました…ってどうしたんです?そんなに息切らして…」
「ちょ、ちょっと散歩に行ってて…」
「そ~ですか。失礼しました。」
「じゃあね」
感じ悪っ!メイドがそれでいいのっ⁉
「ん!おいしい〜!前世とは比べものにならないわね!」
結局、私はメイドのことは瞬で忘れてご飯を堪能した。
あれから5年後。私は12歳になったわ!
「ルナ様、旦那様がお呼びでございます。」
「お、お父様がっ⁉」
「私はちゃんと伝えましたからね。メンドーなことさせないでください。じゃ、持ち場に戻るんで。」
「あ、ありがとう…って準備しないとっ!」
「お呼びでしょうか、お父様。」
「ああ。お前ももう12歳、来年は学園に入学する。だから、専属の従者をつけようと思ってな。アルベルトだ。」
従者?あのお父様が、私に?
「アルベルトと申します。」
「お前よりも8歳上だが、優秀でな。お前にはもったいないぐらいだ。」
「感謝いたします。」
…お父様からの従者なんて信用できないわ。私を陥れようとでも考えているんじゃないかしら?
「アルベルト。」
「アルで構いません。」
「そう?じゃあ、私のことも好きによんで頂戴」
「うーん、じゃあ、お嬢って呼びます!」
「…アル。」
「はい」
「あなた、さっきと雰囲気変わってないかしら?」
「ソンナコトナイデスヨ」
「…まあいいわ。じゃ、私は図書室に行くけど…」
「俺もついて行きます」
「…あなた、ついてきた意味あるの?」
「お嬢のそばにいることが俺の役目ですから!」
「…」
まあ、邪魔じゃないからましね。さて、読書の続きを…
「ん?」
「あら、出来損ないのルナじゃないの。ここになんのよう?」
「…ごきげんよう、ルシアナ。ここには、読書をしに来たの」
「出来損ないが読書?書いてあることもわからないでしょう?」
こいつ、絶対煽ってるわ!ほんと腹が立つ奴ね!
「お嬢、そろそろ時間です。」
「?アル、今日はなにかあったかしら?」
「はい。自室にお戻りになられる時間です。」
「そうね。ルシアナ。私は絶対、あなたを超えるわ。覚悟しておきなさいな。それでは失礼します」
「アル。あなたねえ、せっかくルシアナに会えたのに、な~に邪魔してくれてるの?」
「俺はよかれと思ったので。それに、ルシアナ様との喧嘩はまずいでしょ」
「よくないわよ。いいこと?私は絶対にルシアナを超えるわ。だからそのことを予告したまで。決して、喧嘩ではないわよ」
「うわー、お嬢、性格悪っ。」
「失礼ね。そんなことないわよ。さ、次はトレーニングよ!」
「ええ…」
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