第8話 街へ

 翌日、ダリアが起きると、その腕にスイの腕?触手が絡まっていた。


 ん~…?魔力が…吸われて…。


「スイ?おはよう、起きて!?」

「…!?ミィ、ミィー……」


 これは…起きたけど、まだ眠いと?イヤ…、それよりも!?


「スイ!!この腕のは?私、何で魔力を吸われてるみたい何だけど?」


 取り敢えずスイから話を聞こうと、私がスイの身体を思い切り揺らして渋々スイが起きた。ヤレヤレみたいな感じのスイに、私は深い溜息を吐いてしまった。


「で?この触手は本当にどうしたの?」

「ミィミィ!?ミィー!?」

「え?昨日、私が寝落ちした後、直ぐに魔力が暴走しそうになって?スイのスキルで抑えてくれてる?

 ーーそれは…、ありがとう。私が寝てからずっとだと…疲れてない?」

「ミィ!!」


 全然平気!!まだまだ、出来るよ!!とドヤ顔で言って来るスイに、私はホッと息を吐く。二人は楽しそうに笑い出した。



 コンコンコン


「お嬢様。おはようございます」


 そう言いながらアンナが部屋に入って来た。


 そして、やっぱり私の手首に巻き付いてる触手を見てギョッとして叫び声を上げて、素早く扉の外に行き他の人達を呼び始めた。


「誰かーー!?!?誰かーー来て下さーーーい!?!?お嬢様がーーー!?」


 アンナの叫び声がして数分後にはお父様やお母様、それに二コラやリサ達が集まった。お父様やお母様はもう起きてたんですね。今日もかっこ良くて、綺麗で眼の保養になるなー。


 あ?皆の顔が早く説明しなさいって言う圧が……、私の気のせい?違う?そ、そっか~…。


「ーーーえ~…っと。私も良く分かって無いので、詳しく説明を出来ないですからね?

 で、私の手首に巻き付いている、このスイの触手がですね。スイによると、私が昨日、寝て直ぐに魔力が乱れ始めて?え?あ~…。もう暴走って言える位のだったみたいで…。それで、スイが自分のスキルに魔力吸収ってのが有るから?取り敢えず朝までは自分が何とか仕様と思った。ってスイが……」


 私が説明し始めると、途中でスイがさっき私に言った時よりも詳しく教えてくれた。後、最後に私が疲れてると思ったから、私を起こしたくなかったとも言われ、その事もお父様達に言った。


 お父様達は私の話を聞きホッとした様な顔をして、お父様とお母様が私を抱きしめて少し震えてる。


「…ダリア?痛かったり、苦しかったりはしてないかい?」

「え?はい、大丈夫です」

「はぁー……。良かった。ダリアは無事ね……」


 ん?魔力が暴走……?…あ?弟達の病気!?


 そう言えば…、私もギリギリって言われてた…!?えっ?もしかして…、私…危なかったの?


 あー……。だから…、お父様とお母様がこんなに震えてるのかー……。あれ…、スイが魔力吸収してくれれば、弟達も……。えっ?それは無理?まだ魔力吸収は出来るけど、一人しかダメ?分裂とか分身が出来ればイケるけど……。

 そっか~……。そんなに都合よくはいかないよね。


「ああ。そうだ、おはようダリア」

「言うのを忘れていたわね。おはよう、良く寝れたかしらダリア」

「はい!もうぐっすりでした!おはようございます。お父様、お母様」


 お父様とお母様に挨拶を返し、後ろに居たアンナ達にも挨拶をする。アンナ達のホッとした表情を浮かべながら、私に挨拶を返してくれた。


「それじゃあダリア、早く着替えておいで。朝食を食べたら、王家が勝手に作った名無しの街に行こうか」

「アンナ。今日のダリアの服装は動きやすい物でお願い」

「はい、奥様」


 アンナがペコリっとお辞儀をするとお父様達は部屋から出ていき、一拍置いてアンナが深~い溜息を吐き私の方に顔を向けた。


「騒いでしまい、申し訳ございませんでした」


 そう言いながら深く頭を下げるアンナに、私は気にしないでと笑いかけながら首を横に振る。


「起きた時に私も騒いだから、アンナの気持ちは分かるもの」

「ありがとうございます。お嬢様。

 では、お着換えを」

「うん、お願い。あ!髪は一つにしてくれる?」

「はい!お任せ下さい!」


 お父様とお母様とのお出かけ…、私のアノ儀式以来だから…、ちょっと気合入れる。アンナもそんな私の気持ちを汲み取ってくれたみたいで、動きやすそうな青いスカートに襟にフリルが少し付いている白いブラウスに。髪は軽く編み込み高めに一つに結わいてもらった。


「ありがとう、アンナ!!さあ~、お父様達の所に行こう!」


 お出掛けが楽しみで私はソワソワしながら二人が待っている食堂に向かい、朝食を食べて街に向かった。


 あ!服装とか髪型を褒めてもらって、食後にお茶と饅頭も食べたよ!




 ◇◇◇◇◇


 と、言う訳で!街に来たよ!!


 えっ?早い?……あ~、うん。実はね?

 取り敢えず、叔父様が居る元王城に転移して。うん…、転移できたんだって…。

 で、屋敷から元王城に転移して、そこから街に転移したんだ。でも、何時もは使わないんだって、魔力を凄く消費するから何かあった時に魔力が無かったら困るからって。

 でも今日は私が居るから安全第一でって事になったって。


 あ!元王城に居た叔父様と会って行ってきますって言ったよ!


 後、その時にアンナから借りていた魔道具見せて、使い方を教えてもらいながら、皆の前で使ったの!!


 それで叔父様の次の休みっと言うか……、明日?何事も無かったら、一緒に魔道具を作る約束をしたんだ〜!!し・か・も!!今日、奴隷を買うのは決定何だけど…、その奴隷次第で魔物を討伐しに行くか決めるって!!


 奴隷を買うって、私的には複雑だけど……、魔物の討伐に早く行けるなら……ありかな?

 イヤ……、魔物を殺すのも……怖いけど……さ。でも……、ポイントを早く貯めたいし!弟達にも早く会いたいし!!



 で、また叔父様と会った事とかを考えてたら……。着いてました…。奴隷商に………。馬車に乗ってたけど…、早くない?もう少し心の準備…を…その〜……。


「さあ、行こうか?」


 お父様はそう言いながら私を抱き上げて歩き出す。


 私は抱き上げられて、改めて周りを見渡した。今から入る建物や街の様子を見て、何だか寂れている?昨日の王城は寂れてるっていうか、静かな森?とかの感じだったけど…。この街はホラーみたいな……、廃村?みたいな…そんな感じがする……。

 此処には絶っ対に!!一人では来たくない!!それか、活気が出たらとか?



「……何か怖い雰囲気だね、此処……。」

「大丈夫だよ。此処の主人は……少し変わってるが、悪い者じゃ無いから」

「ええ。そうよ、此処の主人は変わっているけど、心配はないわ」

「えっ?」


 お父様もお母様も変わってるって言ってるけど…。あの……、今……その…、目の前に居る人は?


「んっも~~……。お二人共、酷くないですか~?

 それで?今日はどの様なモノをお求めで?」

「やあ、アル。こんにちは。

 今日はこの子、私達の子のダリアに奴隷をね?」


 お父様がね?っと言いながら、私を少し上げて見せた。


「ダリア。この人はアーノルド、此処の主だよ。大体のモノを取り扱っているから。

 アーノルド、私達の可愛いダリアだ。くれぐれも変な事を言わないように」


 わ〜……。お父様……。私に言う時は優しい声なのに、アーノルドに言う時は凄く威圧だね。


「も〜〜……。だから、アタシに対して失礼すぎよ〜。

 まぁ、今に始まった事じゃないから、良いけど。も〜少し、優しくても良くな〜い?」

「あら?貴方に対しての対応は、適正だと思うのだけれど?」


 お母様にも横から言われて、ガックリと肩を落としたアーノルドに、私は思わずこの人って何をやったんだろうと、周りを見回した。


「ほら、アーノルド。さっさと奴隷を見せてくれ。この後の予定が沢山なってね」

「ええ。でも、今はまともな奴隷が居なくて……」

「珍しいわね?貴方がそう言うなんて」


 お父様達はキョトンとした顔をしてアーノルドを見て、見られたアーノルドもバツが悪そうに顔を歪める。


「一昨日、まともな者を買い漁って行ったのよ。で、残ったのが。……買うついでに押し付けられた、今ウチに居るものよ……。ハァ〜……」

「成程。で?押し付けられたのは、どんな者だ?」

「趣味の悪いのに当たったみたいで、傷だらけのエルフが二人、ソレに獣人が一人ね。

 ハァー……。小さな子が居るから、ぼかしけど……色々ヤラれてたみたいなの。

 怪我も酷いし、瘴気も酷いて今にも死にかけてる三人しか、オススメ…出来ないのよね」


 アーノルドの説明を聞き、少し顔を歪めるお父様達。


「それで?オススメ出来ないのは?」

「コレが、ほーーーんとうにオススメ出来なくて。こっちも三人何だけど………。実は、異世界転移者で」


 思わずビックっと、肩が跳ねる。


 そんな私の反応を気にせず、アーノルドが首を横に振りながら言う。


「アレはダメね。『自分は偉い立場で、こんな扱いは許されない!!』とか『さっさと此処から出して持て成せ!!謝罪して自分達の為に尽くせ』とか、言ってるのよ?

 今の自分達は無銭飲食と窃盗の犯罪者だって言うのに………」

「ええ〜〜……」

「お嬢様の反応から、転生者みたいだから言っておくと。前世の家族やらでも、下手に同情したらダメよ?ああ言うのは、同情に付け込んで寄生して来るから」

「あ、はい。今の私はお父様やお母様、叔父様やウチの使用人達の方が大切なので」


 アーノルドの顔を見ながらそう言うと、深く頷き「うん。うん。貴女の御両親や叔父様は、とても怖いけど……いい人達だから、大切いね?」とウィンクをしてきた。


「フフフ。怖いは、余計だわ。

 さ、取り敢えず……。転移者は無しで、その死にかけの方に案内してくれるかしら?」


 お母様の圧が有る笑顔を向けられて、ビックと反応するアーノルドは、


「ビック!!っは、はい。喜んで!!」


 と、背筋を伸ばして答えるのであった。


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