第3話 試して

「他?………他。お母様、私……。スキルで茶饅頭とお茶が出たのが嬉し過ぎて、そのままお茶を楽しんでて…。まだ、他に何が出せるか分かりません…。」


 私はスキルを初めて使った時から、お茶を楽しんでいた事やお母様達の婚約した時の話を少し、後は王家がヤバい話を少し聞いた事を話した。


「私のスキルで……、画面?ウィンド?を出してみますので、お母様も一緒に見てっ貰えませんか?」


 取り敢えず出してみたけど……、転生までの私…もう少しポイントが必要だった……よ。お茶と茶饅頭は魔力だけで出せたのに……、レベル1だと二つまでみたい。後のモノは、素材とか使ったら……前の世界で日常的に使ってた物とか食べてた物が出せるんだって。


「……もう少しポイントを払っておけば良かった……。だから…ハズレスキルなんて言われるのかな……」


 儀式の後に言われたハズレスキルという言葉が気になり始めたし…、何か落ち込むかも…。


 それにしても【食・生活スキル】 【ポーション作成】って他の人はどうしてるのかな? まぁ、今は生活で使ってたやつから……、こう~魔力を貯めておける……物…っと言っても……。充電池とか充電器しか思いつかないよーー!?


「ダリア……。そう落ち込まないで?そのスキルを持っていて……、最初から二つも出せるだけで凄い事なのよ?」

「へ?そうなの?」


 イザベラが溜息を吐きながら、どことなく痛みを耐える様に頬に手を置き話し出す。


「……ええ。この世界に来る前に、少し神様から説明を聞いているって事だもの」

「?まあ…確かに、神様からこの世界は不安定で気を付けないといけないって、……言われたのは覚えてますが…?でも、そのポイントは今まで自分に他人のお金をどれだけ使われたかを…、自分で決めてそれが近いか超えてたら良いって……」


 ダリアの声は段々と小さくなり、最後にだって足りなかったら何かを払うって聞いたから……。


「そうね…、貴女は真面目に取り組んだみたいで……、流石わたくし達の可愛い子ね。とても自慢な娘を持てて嬉しいわ。……でも、大体の転生者達はそうでは無いの。それに、そういう転生者達は…大体が、地位の低い所に生まれるか……何かをして奴隷に落ちるから……」

「奴隷に……落ちる?」


 ダリアの顔色がサーーッと青くなる。もう一度神様達が言ってた事を思い出す。


 えっ?この世界……奴隷とかあるの……。ーーーそう言えば…神様達が転生者達に……は厳しいって…。でも……、遠慮はするな!ガンガン行けって…。今思い出せば……どういう事?



「大丈夫よ。この世界で犯罪を犯したり、多額の借金をしなければ良いの。それよりも…今は、貴女のスキルを使うには…どんな素材がいるか。そちらの方が……大切だもの」


 イザベラは笑顔なのに、とても強い圧を感じてビックと身体が固まるダリア。


 ダリアは急いでウィンドに視線を向け、ダメ元でモバイルの充電器の所を見る。


 お母様……こッわ!?早く話題を変えて……。

 あっ!?コレ使えるんじゃ……。


「そ、そうですよね。ーーーあっ!コレが魔力を貯めれる……みたい」


 そう言いながらイザベラに指で指して見せる。


 ダリアが見せたのは前世でよく使っていたモバイルバッテリー。

 その説明には、異世界の道具で充電器だったが、この世界では魔力を吸収して魔石を作る道具。大きさや質は個人差がある。

 作るには、錬金術でモバイルバッテリーカードと魔石とスライムゼリーで錬成する。


 モバイルバッテリーカード 一枚100ポイント


「……ダリア?このポイント…とは…なんです…」

「えー…、ちょっと…待って下さい。ーーーあ!これですね。

 ポイントは……この世界で自分自身が魔物を倒した時に貰える、もしくは契約しているか従属しているモノが魔物を倒した時に貰える。だ、そうです。」


 ダリアの説明にイザベラは手を額に当て天を見上げた。


 ん?お母様、そんな頭痛が痛いみたいな反応しなくても……、あっ!?私…まだ五歳だった!?えっ!?この世界って五歳児でも、魔物を倒しに行けるの?…ってか!そもそも、倒せる魔物が居るの!?私には魔法系は授かって無いよ……ね。どうーしよ……。


「あ…のお母様?私…に、その…魔物…倒せますかね…?それに…錬成術何て…」


 オロオロしながらダリアは聞いた。


「錬金術については…ダリアが使わなくても平気でしょう…。それに、使える様になりたいなら…どれ位貴女に適性が有るかで変わりますが…、使える様になるから安心なさい」

「あっはい…、なら使える様になりたいので…今度、出来れば魔法系もお願いしたいです…」

「ええ…、分かったわ。アンナ、後で生活魔法の魔道具を渡して使い方を教えて。それから監視も忘れない様に」


 今まで壁際に控えてたアンナにイザベラが言い、アンナは真剣な表情で頷き。


「かしこまりました。魔道具は最初ですから【クリーン】か【給水】どちらかに?」

「そう…ね…。色々早く試さないといけないから、両方共試して後【ライト】も使っていいわ。それと、大丈夫だと思うけど…。一応あの子達が使ってる魔道具も置いて置く様に」


 二人は疲労が酷い表情をして話し合っていた。


 お母様とアンナの疲れたる顔……。取り敢えずお茶と饅頭をそっと出して置いておこう……。


 それにしても……、どーしよ…ポイント…。流石に行き成り魔物を倒しに行くのは…うん、無理!でも、お母様の様子だと…弟達…あんまり良くないみたいだし、私もぎりぎりって言われたから…。このまま魔力を使い続けると危ない?時間の問題?


「あら?………ダリア、もう部屋に戻りなさい」

「えっ?…あっ!はい。お休みなさい、お母様」

「はい、お休みなさいダリア」


 イザベラに言われフッと時計が目に入り、イザベラに挨拶をしアンナに促されて部屋を出るダリア。


 そう言えばアンナの話しを聞いたのが夕食の後で、そのままお母様の所に突撃したから…、わ〜結構…遅い時間だね……。安心したからか……眠気が……久しぶりに……。


「お嬢様、失礼します」


 歩きながらウトウトし始めたダリアをそう言いアンナが、ひょっいっとダリアを抱き抱える。


「う〜…ん、アンナ……ありがとう………」


 そこでダリアは完全に寝落ちする。

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