く じゅうの決断!!

第4話

次の日のホームルームはクラスの出し物決めだった。



「うちのクラスは演劇で、配役とか台本は後で決めるってことで。


とりあえず、これで企画書だしときまーす」



そして文化祭委員の人がプリントを変える。



「そんで、あと一つ。話したいことがある」



黒板に『イケメン・ヤマトナデシコ決定戦』って、書かれた。



「この説明をしまーす」



クラスがザワザワして担任の千葉先生が「うるさい」って適当に言った。



皆が静かにならないのを見て実行委員の美奈ちゃんがため息をつく。



「うっさい!」



美奈ちゃんの声にピタッと静かになる。

男子実行委員の笹内、ビックリ。



「これの出場者が毎年、女子が足りないの。

誰か出てくれる人いない?」



すると眞冬ちゃんが「蘭は?」ってわざわざ声に出して言う。


私は大きく首を振った。



「嫌だっ!

あんな恥ずかしいやつ出たくないっ!」



中学生の時に文化祭で見たけれど、綺麗で可愛い人ばっかりが生徒会の質問に答えて順位をつけるやつだ。



「出ないっ!出ないよ!」



だけどクラスの皆が「えー、なんでー?」と、私を見てくる。



「蘭ちゃん可愛いし、優勝狙えるよ」



何をバカげたことを……!



「可愛くないっ!絶対いやだっ!」



すると生徒会の都ちゃんが私を見てくる。

なんか、断れなくなる……。



「蘭ちゃん……、お願い。

一年生の出場者が少ないと私が怒られるの」


「都ちゃんが出れば良いじゃん!」


「うん、私は強制参加なの。


主催してる生徒会から一人も出ないなんて、そんなの問題だって。


一年生の時に生徒会の誰かは必ず出ることになってるの」



「都も出るんだよ?

一人だったら可愛そうじゃん」



美奈ちゃんの言葉に唇を噛む。



皆の視線に逆らえず。



「……分かったよ」



口からポツリと言葉がこぼれた。



「ナイス決断、蘭」



美奈ちゃんの笑顔にも笑顔で返せない。



不本意にも程がある……!



私がガクーって落ち込んでると笹内が「次にー、」と話を進める。



「イケメンの方に出たい奴いる?


まぁこっちは出場者も割と足りるらしいし、無理にとは言わねーけど」



するとクラスの男子が「日高出ろよー」とか何やら意味不明なことを大声で言い出した。



……出た、日高。超ウザ日高。

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