第7話
氷の亀裂から噴きあがった炎はやがて縮小して人の形になっていく。
漆黒の髪は逆巻くようにゆらめく。
薄紫色の瞳は傲岸不遜な“闇”。
容姿はミカエルと同等に美しく、黒い炎をまとっている。
その背にはこの世にあらゆる禍をまき散らす漆黒の6枚の翼。
地獄の王、魔王ルシファー。
ルシファーはゆっくりと氷の上に舞い降りると確認するかのように手の平を閉じたり開いたりし始めた。
「ハッ――ッハハハッ!久しぶりに自由になったぜ」
その声は地獄の隅まで響き渡った。
「ルシファー様――!!」
地獄の空から翼をはばたかせながら黒い狼が現れた。
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