1.願い

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これは、外の世界から隔離かくりされた12歳の少年の物語。




毎日部屋のベランダから空を見上げていた。屋敷の周りには、緑がしげる自然豊かな世界が広がっている。この森は、雨宮あめみや家が所有する庭のようなものだ。


僕はベランダから手を伸ばし、そして大きく息をした。夏の匂いがする。優しい風が、僕の髪を揺らした。


「森の向こうは、どうなってるんだろう。」


12年間、僕は森の向こう側へ行った事がない。両親はいつも、外へ出たがる僕に"森の外は行くな。これはお前のため。"そう言って、僕を此処から出してはくれないから。


小さな世界に隔離。

僕には、両親が理解出来なかった。


危険だから外に出ては行けません。でもどう危険なのか教えてくれない。大人達はいいな。自由が許されている。


両親が僕を隔離する理由について、色々考えた。


「森の外はきっと魔物だらけなんだ。」


そうやって無理やりにでも理由を考えなきゃ、僕はどうしても両親の言葉に納得出来なくて。


「外は危険なんでしょ?ならなんで外へ行くの?ずっと此処に居ればいいのに。」

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