1.願い
p2
これは、外の世界から
毎日部屋のベランダから空を見上げていた。屋敷の周りには、緑が
僕はベランダから手を伸ばし、そして大きく息をした。夏の匂いがする。優しい風が、僕の髪を揺らした。
「森の向こうは、どうなってるんだろう。」
12年間、僕は森の向こう側へ行った事がない。両親はいつも、外へ出たがる僕に"森の外は行くな。これはお前のため。"そう言って、僕を此処から出してはくれないから。
小さな世界に隔離。
僕には、両親が理解出来なかった。
危険だから外に出ては行けません。でもどう危険なのか教えてくれない。大人達はいいな。自由が許されている。
両親が僕を隔離する理由について、色々考えた。
「森の外はきっと魔物だらけなんだ。」
そうやって無理やりにでも理由を考えなきゃ、僕はどうしても両親の言葉に納得出来なくて。
「外は危険なんでしょ?ならなんで外へ行くの?ずっと此処に居ればいいのに。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます