第51話 カミングアウト

 翌日、岳斗は大学へ行って授業を受け、帰りに海斗と待ち合わせた。岳斗の授業が少し早く終わったので、座って待っていると、海斗が友達と一緒にやって来た。

「岳斗、お待たせ。」

「岳斗くん、こんにちは。」

葵、慎二、圭介、凛太朗もそれぞれ挨拶してくれた。

「海斗さ、明日誕生日なんだろ?それなら今夜はパーティーやろうよ。明日はお前バイトだろ?」

圭介が言った。

「あー、悪い。今夜は先約があるから。」

と、海斗が言った。

「そっか、彼女と過ごすんだよな。」

圭介がそう言うと、

「俺、彼女がいるって言ったか?」

と、海斗。

「いや、でもいるんだろ?」

「そうよ、この間こっちに来たって言ってたじゃない。」

葵も言った。

「こっちに来たのは彼女じゃなくて、彼氏だよ。」

と、海斗がすまして言う。一同、一瞬言葉を失って海斗の顔を凝視した。

「そう、なんだ。それは知らなかった。あはは、ここ女子少ないから、彼女がいたらすぐ分かるはずだと思ったけど、なるほど、分からないわけだ。あはは。」

葵が笑いながらそう言った。

そうして、皆で門を出て歩く。そのうち、駅へ行く道と、岳斗たちの家へ帰る道との分かれ道に出た。

「じゃあな。」

海斗が友達にそう言って去ろうとすると、凛太朗が、

「あれ?お前、彼氏と会うのに、家に帰っちゃうのか?」

と、不思議そうに言った。すると、

「お前、鈍いなあ。」

と、慎二が凛太朗に言った。

「え?」

凛太朗だけでなく、圭介も葵もキョトンとした顔をしている。

「海斗の周辺で、最近こっちに来た男子、一人しかいないだろ?」

慎二がそう言うと、他の三人は一斉に岳斗を見た。

「そういう事。」

海斗はそう言うと、岳斗の肩に腕を回して引き寄せた。

「えー!」

葵、圭介、凛太朗が声を揃えて叫んだ。

「だって、兄弟でしょ?」

葵が岳斗と海斗を交互に指さして言う。

「血がつながってないって、前に言ってたじゃん。さっき、彼氏だって聞いて俺はピント来たぜ。」

と、慎二が言った。海斗はこの一年間、常に岳斗の話を誰かとしていたくて「うちの弟は~」「うちの弟が~」と、細かい事まで色々と周囲に話してしまっていたのである。

「確かに、ソフトクリームを二人で食べてた……。」

葵が言った。岳斗は思わず苦笑いをした。

「そういう事だから、じゃあな。」

海斗はそう言うと、岳斗の体も反転させ、家へと歩き出した。岳斗は顔だけ振り返り、挨拶しようかと思ったのだが、今は恥ずかしいのと、彼らがコソコソ話していたからやめた。

「ってことはさ、同棲してるって事か?」

「うわー、今夜は誕生日だから……。」

「甘ーい!」

最後には、全員で叫んでいた。

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