第12話


事務所ヘ帰ってから、

お互いの収穫した情報を話しあった。


「ワシが聞いたぶんには、仲里は…

かなり、嫌われておったぞ。子供は勿論の事

同僚にも…“変態“扱いされておった。

しかも、この事を施設長は

隠蔽しようとしていた…。まだ何かある筈だ。」


「なるほど…胡散臭うさんくさいですね。

…で、かおりの生い立ちなんですが、

施設に来るまでは、父親と母親の3人家族でした

ところが……かおりが13歳の時、

交通事故で、…両親が亡くなっていました…。」


「……それは、可哀想に、、」


「で、その事故なんですが…

加害者は、飲酒運転だったそうで、

葉山夫妻に…落ち度は無かったと…。

あ、葉山は、かおりの旧姓です。」


「そうか…。残酷な事だなぁ……。

ん?……おい!その事故の加害者は、

その後、どうなったんだ?」


「え~と、…そこまでは、あの施設では

わからないようでしたけど…?」


「…飲酒運転で、ふたりも亡くなったのなら!

危険運転致死だ…実刑は、まぬがれんだろう!」


「確かに!!」


「……そうか。なるほど!わかってきたぞ。

ワシの推測だが、その加害者…ひょっとすると

あの、仲里の殺しの犯人として、

自殺した男と…同一人物なんじゃないか?」


「えっーー!?」


「どうだ?…かおりと、何かしらの

“接点“が、見えてくるだろう?

何の関係も無い人物が…自殺などせんだろ…」


「あ、…現場で見付かった“凶器“が

一致していれば…その加害者がホシですね!」


「待て待て!みぞし!…この事件は、

まだ何か、引っかかるんだ……。」


「ん?…何が、引っかかるんでしょう?」


「殺害方法の…“違和感“だ。」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る