第8話


施設の中ヘ入り、

先ず…施設長から話を聞く事ができた。


「仲里さんは…児童支援員として皆から

慕われていました。まさか…こんなかたちで

亡くなるなんて、心が痛みます……。」


「…かおりさんとの、馴れ初めは

いつ頃からか…わかりますか?」


「えぇ。…かおりちゃんが13歳で

この施設に来た時です。

皆が、彼女の美しさに息を呑みました…。

その時、学さんが…言ったんです。

『かおりさん、僕が貴女を守ります。

結婚できる歳になるまで待っています。』と…。」


「その時、かおりさんは…なんと?」


「子供だったので…。

まだ意味が、わからなかったのかも知れません」


「そうですか…。」


「おい…みぞし。学の交友関係を聞け!」


「あっ!…あと、仲里さんの交友関係は…?」


「わたくしが…知る限りでは、

仕事熱心だったので、あまり親しい方が

居るような話は……聞いていません。」


うーん。

この…施設長、

表向きな話しかしないな。


「みぞし!他の支援員にも話聞きに行くぞ」


「え?…あ、はい。

では、ありがとうございました!失礼します。」


…その後、他の支援員に話を聞いたが

皆、口を揃えて

『子供達から、慕われていた。』と言う…。


……箝口令かんこうれいでも、しかれているのか?



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