第24話 早速、私に対して虐めが起こり、最後は礼儀作法の先生に何故か被害者の私がお説教されてしました。

次の日、私はハッとして起きた。

「どうしよう。大変だ」

そして、時計を見て慌てた。

後もう授業開始まで20分しかない。

完全に失敗した。

昨日寝たのは5時前で、目覚ましをかけたものの自分で解除していたのだ。


ドンドン

その時に扉がノックされた。

「おい、クラウ、起きているか?」

コンスの声だった。

「はい、起きてます」

私は慌てて制服に着替えたのだった。


そして、そのまま、部屋を飛び出した。

「遅くなってすみません」

私はコンスとヘレナとポピーに謝った。


皆で歩きだす。


「大丈夫なのか。目に隈を作っているが」

「すみません。昨日夜ふかししてしまって」

私はコンスに謝った。


「食事の時もノックしたんだが、ヘレナは出てきたが、クラウは出てこなかったからな」

「もう少し寝させておこうってことになったのよ」

コンスについでポピーが説明してくれた。


「そうなんですか? すみません」

「もう、起こしてくれたら良かったのに」

ボソリと小声でヘレナに文句を言うと、

「ごめん、私も寝ぼけていて」

まだ半分寝ているようなヘレナが答えてくれた。


「昨日はヘレナとクラウでしょ。遅くまで話していたのは」

ポピーが言ってきた。

「そうなのか?」

「私も混ぜてくれればよかったのに」

ポピーが恨めしそうに言ってくれた。


「ごめんごめん」

私は謝ったけれど、前世の話をポピーにするわけにも行かなかったけれど……


「で、昨日はルード様とどうだったの? 二人して仲良く会場から出ていったけれど」

ポピーが興味津々という感じで聞いてきた。


「仲良くなんか、ないわよ」

私が否定すると、


「ええええ! あれで? ねえ、コンス。二人していい感じで踊っていたわよね」

「まあ、他人の恋の話を聞き出すのは、はしたないような気もするが、ルードが踊っているのは私が知る限り初めてだぞ」

「えっ、そうなんですか?」

私は初耳だった。


「そうだ。パーティーで踊る機会があっても、絶対に踊っていなかったな」

「そうなんですか!」

ちょっと、それはますますまずいような気がしてきた。踊ったことのないルードが初めて踊ったのが私で、その後追いかけてきた令嬢から二人で逃げ出したのだ。

また他の女の子にどんな文句を言われるか判ったものではなかった。


「絶対に二人はいい感じだったわよね」

「いや、そんなんじゃないから」

私はポピーに言い訳するためにヘレナから離れてポピーに近づいたのだ。


その瞬間だ。


バシャリ

頭の上からいきなり水が落ちてきたのだ。


私が動いた後に……

ぼうっと歩いていたヘレナの頭の上から水が降ってきたのだ。


「ギャッ」

「「「えっ?」」」

そこには濡れ鼠のヘレナが立っていた。


「誰だ。水を落としたのは?」

コンスが叫んでくれたが、廊下の二階には男子生徒の顔が見えた。


「お前か?」

怒ったコンスの顔を見て、上級生と見られる男はぶんぶんと大きく首を振った。


「ピンク色の髪の女の子が逃げていきました」

「ピンク頭の子だと!」

コンスは慌てて追いかけようとしたが、今から二階に行っても間に合いそうにはなかった。


「は、ハックション! すみません。誰か温風魔術って出来ますか?」

くしゃみをしながらヘレナが聞いてきた。




結局、誰も使えなくて、私は慌てて、ヘレナを保健室に連れて行った。


でも、保健室は鍵がかかっていて、保健の先生はいなかった。私は慌てて探しに行こうとした時に、今度は花瓶が落ちてきたのだ。


パリン

花瓶は地面に激突して粉々に割れた。


私が今までいたところに落ちてきたのだ。


でも、上から落とせるようなところはなかった。

誰かが魔術を使って落としたのだ。


「何をしているのです? こんなところで! もう授業は始まっていますよ!」

そこに怒ったアデライド先生が現れた。


「いえ、先生。花瓶がいきなり上から落ちてきたんです」

私が説明すると、


「上からって、上は廊下の天井ですし、落ちるような所はないですよ」

「それはそうなんですけど、でも現実に落ちてきたよね」

私はヘレナに同意を求めた。

ヘレナがこくこくうなずいてくれた。


「と言うよりも、ヘレナさん、何故濡れているのです?」

「いきなり水が上から降ってきて……」

私達は状況を説明した。


「なんて事なの? そんな悪戯をするなんて!」

先生は怒ってくれた。そして、温風魔術でヘレナを乾かしてくれたのだ。


「誰がやったか、ヘレナさん。心当たりでもあるの?」

先生が聞いてきた。


「いえ、先生、恐らく、犯人は私を狙ってきたのではないかと」

私が申し出ると、


「クラウディアさんをですか? あなた、何かこのような事をされる覚えがあるのですか?」

きっとしてアデライド先生が聞いてきた。


「いえ、あの、昨日のパーティーで」

私は誤魔化して言ったら、


「ああ、あなた昨日はルードさんと手と手を取り合って令嬢達から逃げ回っていましたね」

納得したようにアデライド先生は言ってくれた。

いいや、それはルードに私が連れられたのだ。決して手と手を取り合って逃げたのではない!


「しかし、このようないたずらをするなんて許せません。ただ、クラウディアさんも学園内で恋愛はあまり大っぴらにしてはいけませんよ。どこの誰が妬んでこんな事をしないとも限りませんからね」

アデライド先生に釘を刺されたんだけど、

「えっ、恋愛って、昨日のはあれは違いますよ」

私が否定したが、


「でも、今日のこれは、どう考えても痴情のもつれであなたが狙われたことになります」

アデライド先生が断言してくれた。


「ち、痴情のもつれですか?」

私にはその言葉が当てはまるとは思えなかったが、


「ルードさんは令嬢達から人気がありますからね。大っぴらに皆の前でイチャイチャするのは止めなさい」

「いえ、先生、私はそんな事はしていないですよ」

私は否定した。


「クラウディアさん。あなたがどう思うかではなくて、周りがどう思うかです。ヘレナさんも私が言おうとしていることは判るでしょう」

「それはとてもよく判ります」

頷かなくてもいいのに、ヘレナが頷いてくれた。


その御蔭で、私達は過去の痴情のもつれから学園でどのような問題が怒ったかをアデライド先生から延々と聞かされる羽目になったのだった。

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