第2章: 目に見えないところを見る。

本当に大切なことに集中する

現代社会では、私たちは常に「もっとできることがある」「何かを達成しなければならない」というプレッシャーに囲まれています。キャリアの成功、家族との時間、健康、趣味、そして人間関係。どれも手を抜かずにすべてを完璧にこなしたいと思うのは自然なことです。SNSでは他人のキラキラとした生活が絶え間なく流れてきて、それを見て「自分も同じように成功しなければ」「もっと多くのことを達成しなければ」と感じることがよくありますよね。しかし、この思い込みこそが、私たちを疲れさせる大きな原因なのです。

たとえば、ある友人は仕事で昇進を目指し、長時間働き続けているかもしれませんが、その裏では家族との時間や健康を犠牲にしていることもあります。別の友人は、趣味に熱中して毎日楽しく過ごしているかもしれませんが、経済的な安定を手放しているかもしれません。現実には、すべてを手に入れることは不可能で、どこかで何かを選び、何かを手放す必要があるのです。これは「限界がある」という現実を受け入れることでもあります。

さらに、「何かを手に入れるためには何かを手放す」という原則を理解することが重要です。私たちが持っている時間やエネルギーは有限です。これを意識せず、無限に追い求めてしまうと、結果的に何一つ満足に達成できないまま疲れ果ててしまいます。まず、自分に「すべてを完璧にこなす必要はない」という許しを与えることが第一歩です。これにより、心の負担が少しずつ軽くなり、真に大切なことに集中できるようになります。

自分の限界を見極めるためのステップ

では、具体的にどのようにすれば自分の限界を見極め、すべてを追い求めずに大切なことに集中できるのでしょうか？以下に、実践的なステップを挙げてみます。

「やることリスト」ではなく、「やらないことリスト」を作る

多くの人は、やりたいことややるべきことをリストにして管理しますが、逆に「やらないことリスト」を作ることも効果的です。これにより、自分が何にエネルギーを使わないか、何を手放すべきかを明確にすることができます。たとえば、毎日のSNSチェックや無意味な会議、嫌々参加している飲み会など、自分の生活の中であまり価値を感じない活動を減らすことで、時間やエネルギーをもっと有効に使えるようになります。

優先順位を決める際に「3つの重要な領域」を見つける

人生にはさまざまな面がありますが、すべての領域において満点を取ることは不可能です。だからこそ、自分にとって最も重要な3つの領域を決め、それに集中することが大切です。たとえば、仕事、家族、健康の3つがあなたにとって最も大切なものだとします。これらを最優先にして、他の領域は「完璧でなくても良い」と割り切ることが大切です。これにより、優先順位が明確になり、選択や行動がシンプルになります。

「満足できる結果」を基準にする

完璧主義に囚われず、「自分が満足できる結果」を基準にして行動することが大切です。すべてのプロジェクトやタスクに対して100%の努力を注ぐのではなく、自分が「十分に良い」と感じるところで終えることを目指しましょう。たとえば、家事や仕事のタスクにおいても、完璧を追い求めるのではなく、効率よく80%の完成度で満足するという姿勢が、精神的な余裕を生み出します。

バランスを取ることの大切さ

すべてをこなそうとすることから脱却し、何を優先し、何を手放すかを意識することで、心と体に余裕が生まれます。人は皆、限られたリソースの中で生活しています。大切なのは、その限られたリソースをどのように配分するかです。すべてを手に入れたいという思いは、他人の期待や外部のプレッシャーによって強まることが多いですが、本当に自分が望むものに目を向け、自分の価値観に基づいて選択することが、楽に生きるための大きな鍵になります。