あい、愛、ラブ
篠宮五日
love
人ってなんて残酷なんだ!と思う。だってあたしは、あたしのせいでオーバードーズを始めて、あたしのせいじゃないところでずっとそれから抜け出せないあの子を見たって何にも思うことなんてなかったし、あたしみたいな女って憎い、なんて憎悪をぶつけて過去の清算を勝手にしようとしてるあの人だって馬鹿みたいでかわいいと思うし、掲示板で晒されてた仲の良かったあの子も、恋人に依存して周りを裏切ってもうあたしのことなんてお構いなしなあの子も。ぜんぶぜんぶ!どうでもよかった。だってあの人もこの人もみんな、あたしのことなんてこれっぽちも見ようとなんてしてくれてないんだもの。一生も背負って愛してくれないのなら、なにもかも意味なんてない!あたしの傷まで、空腹まで一緒に一生愛してよ。もうそれ以上なんてないなんて夢を見せてほしい、そんな気概が欲しいの。そんな愛を、いつだって欲しているの、あたし。分からないあなたになんて瞬きほどの用もない。どこかでしあわせにやってくださるよう。
誰もを愛していたいだけの、愛しているあたしでいたいだけであなたの中身になんてちっぽけも興味なんてないのよ。信じたいから信じようとしているだけ、実際のところなんて関係ない。いつだって特別でもない人間が特別みたいなふりをしている。ほんとうの味なんて知っているから味見なんてするまでもない。ああ、あの透明な青色がずっと恋しい。あの色に触れられたら、触れることを許された時に始めてあたしのための人生は産声を上げる。幸福を知って愛に満ちた声を上げる。
愛ってしあわせってなんだと思う?あなたの呼吸を受け取ってきた心は、なんて言う?白い肉に刃物を立てて、彩度が溢れ出して、あたしは救われた気になる。あたしを鼓動から救い出してくれる永遠の約束があったならよかった。つまらない言葉を調理して飲み込んで消して、忘却の真似事をしている。そうしたら死んでいるふりになると思っていたの。あなたが今、この世界にいたなら、あるいは!
あい、愛、ラブ 篠宮五日 @shinousomeday
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。あい、愛、ラブの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます