第2話
「悪いけど…おまえといてもつまんねぇんだわ。もう別れよう」
「そう。分かった」
別れを告げられたのは、雰囲気の良い落ち着いたバーだった。
話があると、呼び出しの電話を受けた時点で何となく予感はしていたから驚くことはしない。
別れの原因はいつも私の方にある。
たとえば、可愛いげがないところ。
既に二杯目のウォッカが入ったグラスを見ながら思う。
もしも、このグラスの中に入っているのがカシスオレンジならもう少し可愛く見られるのだろうか。
別にそこまでして可愛く見られたいとも思わないけれど。
来るものを拒むことはあっても、基本的に去るものは追わない。それが私の鉄則。
「そういうところが可愛くねぇんだよ。泣いてすがりつくなら考え直してやろうと思ってたのに」
「そういうのパス。面倒くさい恋愛は嫌いだから」
あっけらかんとしてる私に、たった今、元カレになった宏樹は下唇を噛みながら心底悔しそうな表情をしている。
「今までありがとう。じゃあね」
お酒の代金をソッと置き、宏樹の前から立ち去る私には、未練の“み”の字もなかった。
宏樹とは半年か…
思っていたより長く続いたな。
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