花の名前は。
ゆ〜 @WGS所属
Flower's name is.
「僕と、付き合ってください……!」
君から発せられたその一言は、
ずっと待っていた言葉のはずなのに、
驚きが隠せなくて、でも、とっても嬉しかった。
「うん、もちろんっ!」
小さな一輪の
「あ、あのね。」
恥ずかしそうにおどおどしながら教えてくれた花言葉。
『憧れ』と『情熱』、一輪だと『一目惚れ』。
そして、
「『貴方だけを見つめる』っていう意味もあるんだよ……」
ちょっと奥手の彼らしい伝え方だった。
聞いたとき私はどんな顔してただろうか。
眩しい太陽の光が私の顔を見えにくくしてくれてれば良いな。
その小さな一輪は、
ぽっと私の心に小さな明かりを灯した。
「てゆーか、これから神社行くじゃんw
なんでタイミング今なのww」
「あ、確かにそうだな!?」
気づいた途端、緊張の糸がぷつっと切れた。
「そういえば、なんで御朱印を集めてるんだっけ?聞いたことある?」
「よくぞ聞いてくれた!!」
「うんw」
「それはなぁ、死後に極楽への繋がり、いわゆる『あの世のパスポート』になるってどっかの記事で読んだから!!」
「辞めて欲しいなぁ〜
もう死後のこと考えてんの?w」
別にそんなに深い意味もないけれど言ってみたかった。
「だってさ、『備えあれば憂いなし』だよ!」
*
「おみやげ〜……
って言っても道端に咲いてた花w」
「なにそれww
でもありがとう。この花なに?」
貴方が教えてくれた1つ目の花だった。
「
少し私の顔を伺っているような気がした。
葉にストライプのように斑が入っていた。
大きめのマグカップに水を張り、茎を斜めに切って入れてあげる。
「そういえばね!男の子は女の子に花の名前を教わると、その花を見るたびにその人のことを思い出すんだって〜」
「いきなりどうしたの?」
「ん?私も彼くんのこと思い出すのかなって思ってさ〜」
カップを窓の縁に置きながら話す。
雲の流れが速くて、今にも雨が降りそうだ。
「そうだね、思い出してくれるといいかも。」
*
それから3年時が流れた。
貴方とはもう会ってない。
貴方がくれた向日葵、
別れ際、貴方がくれた
2つ目の花。
これも君に教えてもらって初めて知った花だった。
花言葉は。
「『変身』と『別れの寂しさ』だっけな……」
露草のあの時から、貴方は私をふろうとしていたんだよね。
言い出せないから花言葉で。
でも私はその花の名前すらも知らなくてさ。
君からふっておいて、『別れの寂しさ』ってなんだよ。
最後まで私に情けをかけるんだね。
優しい君だから。
あぁ。
自分、馬鹿みたい。
この時期に散歩なんてしたのが馬鹿だった。
露草は道端に咲いている。
端っこで申し訳無さそうに、静かに咲いている。
なんで、なんでだろう。
あの花を見かけるたび、あの思い出が、感情が蘇る。
「……っ。あーあ、女の子も、、そうみたいだなぁ……」
大粒の雨が葉を揺らした。
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