第30話

 哲の初演奏から欠かす事無く、ずっと届けられている匿名の花束と、メッセージカード…憎からず思わぬ訳が無い……。


 君の事、何も知らないけど…

 一つだけ、何となく分かる……


 花束に必ず入ってる、山査子…


 「希望」…

 これは、君の名だ。


「…『ノゾミ』…かな?

 

 ハハッ…きっと、いいなんだろうな?(照)」


 そして…到頭、昨夜ゆうべ


高峯 希望のぞみです…(含羞)

 初めまして、アキラさん?」


「えッ…?

 俺の下の名前―」


「―当然、知ってますよ…?

 だって私は、貴方の…一番のファンだもの……」


「…へェ…そ、か……!

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