第9話

 アキラは、ノゾムの命ずる儘…己の指先で、彼自身と後門に触れる……。


 何で…俺が、こんな目に……?

 そもそも…コイツが俺を狙った切掛は……?

 思い当たらない…思い出せない……

 思い出すんだ…思い出せ……!


 アキラは、直観していた―この危険な男から、離れねば…軈ては、己が崩壊し…日常を手放して仕舞うだろう……。


 ベッドの上に横たわる彼のに、剥ぎ取られて床に散乱した着衣とクラッチバッグ、そして楽器ケースが映る―


 散らばるスーツは、「JBM交響楽団」の団員服…楽器ケースの中には、ヴィオラ……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る