第3話

 今年最後のツアーも、この首都圏に在るアリーナで、華々しく幕を閉じた。


 中堅アイドル・片瀬美波は、正に―幸福しあわせの絶頂に在った……


 この時迄は……。



「……?」


 舞台ステージから下がるなり、美波は違和感を覚えた。

 何時もなら、マネージャーを初めとするスタッフ達が、ねぎらいの言葉を口にしつつ、集まって来てくれるのに……?


「!?」


 彼女の足が、止まった―


 艶やかな黒髪をし、高級スーツを着熟きこなしている、端正な容姿をした二十代半ばの男が独り、通路の壁に凭れ…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る