第59話

 何も無い「子供部屋」で、巫琴は彼を抱き締める……。


「…み、こ…」


 彼の腕が、彼女を包み込んだ時―居間のTVが、交響曲シンフォニーを奏でた。


「あ…『JBM音楽畑』の時間だ?」

「アキちゃん、出るんだよね?

 録画チェック、しなきゃ…♪」


 そう…

 弟は、夢を叶えた……


 約束通り…

 皆の夢を……


 その幸せさえ、有れば……。


 彼等は、居間へと急いだ。

 オープニングテーマの交響曲シンフォニーが終わり、一曲目の生演奏が始まる…


「『七重奏曲 変ホ長調 作品65』…」「サン=サーンス…」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る