第26話

 店の正面に飾られている、おおきなクリスマスツリーを暫く眺めた彼等は―二人切りで、最寄の人気ひとけの無い停留所で、府営バスを待っていた。


 其処へ―


「デカいバイオリンしょって、ここからドコ行って、ナニするの~?」


「!?」「!!」


 下卑た笑い声と共に、停留所の裏手から、如何にも不良といった風采の、三人の少年が現れた。


「バーカ!

 こいつは、ビオラってんだ…


 な?」


 一人の少年の手が、チェロケースに掛かる―


 理律夫は反射的に、身をよじった。


「!

 すましてんじゃねーぞ!?

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