第32話

 似合ってるじゃないか?」


「椎名くん…

 よく茶色の私服、着てたから(照)」


「………」


「仄香ちゃん…ちゃんと勉強して、薬剤師になったぞ?


 今日は、お前が出所するってんで、わざわざ休んで、迎えに来てくれたんだ……」


「………」


 押し黙る、実…


「…!」


 そんな彼の両手を、仄香の両手が、優しく包み込む……


「…椎名くんの手…

 すっかり、荒れちゃった……


 でも、これが…

 コックさんの手なんだね…?」


「藤壺さん……」


「そう思って、持って来たの…

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