錦上添花…内助之功

　椎名実(23)、元・受刑者。

　彼は、少年刑務所での服役を了（お）え―満期で出所した。

　用意されていた、茶（ブラウン）系のソフトスーツ…

　実がスーツに袖を通すのは、初めてだったが―それは違和感無く、彼にフィットした。

　然り―彼は、スーツを着熟（きこな）すに足る、年相応の成長を遂げていたのだ……。

　既に、本間の自家用車である、銀色（シルバー）のセダンが停まっている…

　実が、足を踏み出すのを躊躇っていると―不意に、声が掛かった。

「椎名くん…？」

　聞き憶えのある、その女声（こえ）は―

「…藤壺、さん…？」

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