第17話

 与えられた松汰名義の携帯電話で、忠実まめに松汰と連絡を取りながら、全く自由に行動出来ていたのだ……。



 侃は、洋間の床下収納庫の把手を掴んで蓋を開け―自分が松汰の好みに応じて作っている、瓶詰にした果実酒の中から、松汰が求めた梅酒の大瓶を選び、両の手で其処から持ち上げた。


 然り―其処は曾て、侃が裸での寝起ねおきを余儀無くされていた、忌まわしき空間であったが…


 現在の侃は―疾うに松汰に依って、其処から出され―新しい衣服を与えられ、梯子付屋根裏部屋ロフト宛行あてがわれている……。


「…矢っ張り、御兄ちゃん…

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