荊棘(いばら)に隠れて―千歳の告白

第27話

 斯くの如き逡巡を繰り返す事、数日…


 千歳の足は、優一が働いているという、カフェレストランへと向けられていた。


 個人経営だと聞いた店舗は、想いのほか小綺麗で…

 外観から、温かな雰囲気が漂っている……。


 此処迄は来たものの…尚も千歳は、店内へ入る勇気を出せず…店の裏手に彼女が回った、その時―


 通用口のドアひらき―白衣姿の優一が、結束した不要な段ボール箱を搬出せんと、姿を現した。


「千歳…?」


 即座に彼は、彼女に気付き…微笑って訊ねる―


「何か…有ったの?」


「……


 ううん……」

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