　…この建築工事の為に、追加資金が要る……

　マリナ…

　御前、字は読めたな？」

　マリナは、頷く―

「ならば…

　目録だ。

　✕印の付いた物を、売れ」

「えッ…？」

　ルカが示した目録は―マーカント邸に在る、美術品を記した物であった。

「…あの働き者供に、鞭を振り下ろすよりも…

　この私の美学に不相応な、骨董を片付けて仕舞う方が…有益ではないか？」

「…ルカ様……」

「いいか…？

　『マーカント家所蔵』だと、強く云うのだぞ？

　御前に授ける交渉術は、これだけだ…

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