飛び込んで来た、蝶

第5話

「父と兄を…うちへ帰らせて下さい!」


 凜然とした、女声が響く―


 十代後半の、田舎娘が一人…「マーカント製鐵」の入口で、ルカの部下達と押問答している……


「ほう…?」


 瞬間、仮面の下のルカの眼が―残忍に輝いた。


「…貴方が、マーカント?」


「ああ…


 フ…

 又、元・百姓の奴等か。


 この我々…

 マーカントの財力で、こんな片田舎が栄えるに至ったと云うのに…

 何を、ほざく?」


「あんな、碌に息も吸えない場所で…

 朝も昼も夜も無く、働きずくめにして置きながら……

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