第3話

 彼は、鞭を打ち下ろす手を止め―ヒールだか深靴ブーツの踝迄届く、袖無外套マントを翻し―彼の部下である、小太りの中年男を見下げた。


 仮面の男の名は、ルカ・マーカント―石炭から鉄鉱石に至る迄、数多の鉱山を所有し…製鉄所を興し…鉄鋼業で巨万の富を得ている―地元でも昔から、云わずと知れた名家の、御曹司である……。


「私の歩みを止めたからには、火急の用件に相違無いな?」


「あ…(困)

 はぁ…ある意味では(惑)」


「説明も出来ぬのかッ!?

 この、無能が!!」


 ビシッ!


「ひィッ!?」

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