第7話

 その答一つだけを、無表情の儘で繰り返すという彼…珠実のやりの無い怒り。


 そして、公判―


「被害者は、泥酔しており…

 果たして、拒否していたのかどうか―」

「民事賠償に利する意図を以て、この裁判に参加し―」


 主に草司の弁護団から発せられる、心無い言葉…珠実は衝立の蔭で、その遣瀬無さに幾度も、悔し涙に打ち震える……。


 珠実は―草司との子供を、妊娠していた。


 己に対して迅速に為された、緊急避妊の処置…万全だと信じていた。

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