第62話

 小雪は…量大が呉れた、「チャームリング」を外して―カウンターの上に、ソッと置く……


「…御免なさい…!」


 小雪の口から漸く出て来た、彼女の最後の一言…


 小雪は、溢れる涙を拭いもせず、駆け出した。


 チリリリン♪


 店のドアが、閉まる…


 量大は、「チャームリング」に、指先で触れる……


「…こ…ゆ、きっ…!」


 彼の両瞳りょうめから、涙が零れ出す…


 量大は…その指輪を、ソッと両の手で拾い上げて―己の胸に、強く押しいだく……。

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