量大の、絶交宣言…小雪の涙、量大の涙

第59話

 店主不在の時宝店を、何度訪ねたであろうか…


 何日目かの夕方、その店が開業しているのを、小雪は確認し―安堵し、喜んだ。


 接客が途切れた所を見計らって、彼女は入店した。


 チリリリン♪


「いらっしゃいませ!」


 カウンターの方から、忘れ得ぬ量大の声―


 弥増して、小雪は嬉しくなり…其処へと駆け寄って、彼に声を掛けた。


「量大くん!?

 私……」


 小雪は口籠る…


 カウンターの向こう側に居る、車椅子の量大―


 その表情は、憮然とし…見るからに、冷たい物であった……。


「松下さん…」

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