第38話

 A・Sは、少年院で執拗なイジメを受け、軽い心身症となり、医療少年院に転院した。そこで治療を受けたのがきっかけで、退院後、音楽系の学校に進学したのだ。

 そして現在は何と、某交響楽団専属の、管弦楽器奏者になっているそうである。

 その上、数年前には結婚もして、綾波のマンション住みとの事だ。

 唯一、妻との間に子供を授かれないのは、被害女性の怨念故に違い無かろう。〟


「…『東』…『惣一郎』……?


 嘘よ……!?」


 花音の傍らに置かれたレターケースには、国際郵便エアメールで届いたばかりの、奏逸朗の絵葉書が入っていた。

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