あおいそら

高校をなんとか卒業後、職を転々と定まらない自分を心配して、征爾(せいじ)先輩から先輩が働くコンビニで働かないか?と話があった。有り難く引き受ける事にした。






霧島征爾(きりしませいじ)先輩は同じ街の出の三つ上の先輩。黒崎晴(くろさきはる)を心配して、世話をやく係りがさまになってきたところだった。自分の事で必死だった分、昔馴染みに幼い頃から当たり前の事が出来なくなっていたからだ。それに気付いた時、一番心配していなかった晴が職を転々としている状態に陥っていた。


大学生ではあるが、就職も一応内定が出ているコンビニで一緒に働く事を嫌がらずについてきてくれた晴は、昔から困っている時は素直で良かったと思った。渋られたら、暫く休暇をとり一緒に職安をと考えていた手前があるからだ。


「今日は窓掃除だ。こちらが窓掃除の道具一式。」


「はい。」


「レジ見ながら出来そうか?無理なら俺レジ入るが。」


「有り難うございます。」


「背丈あるから助かるぜ!」


言ってる間に御客様が御来店されレジに入る征爾。


「有り難うございます!」


「有り難うございます」


「掃除しながら挨拶出来そうだな、良かった」


「御心配御掛けして申し訳…」


「いや、俺こそ悪い。心配し過ぎだったみたいだ。」


しっかりと丁寧な言葉が言えている事に嬉しく、心配し過ぎだったかと思い。レジを女性スタッフに任せると事務業務へと戻っていった。


磨かれるガラス窓から差し込む西陽が強く輝いて、サッシも一緒に眩しい陽射し。


寒い寒いと手を擦りながら外から逃げる様に来店する人々。


冬はそこまで来ている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る