第34話 三浦君からの相談からの???

三浦「立花さんに聞いてほしいことがあるんですけど。」


秋斗「何ですか?」


三浦「会社ではちょっと話にくいので、今日夕飯一緒に食べませんか?」


秋斗「仕事の相談ですか?」


三浦「違います、僕の恋愛相談なんですけど。」


恋愛相談か…

正直ちょっと面倒くさいな。

三浦君がどんな子なのかまったくつかめてない。

広く浅くで一定の距離を保ちたい。

何となくそのほうがいい気がしている。


秋斗「わかりました。ただ一度帰って犬のお世話とか、色々済ませてから9時にお店で待ち合わせとかでもいいですか?」


三浦「全然大丈夫です♪話聞いてくれるんですね!じゃあ、店は適当に決めて後で連絡します。僕、取り引き先から直帰になっちゃうんで。」


秋斗「わかりました。」


仕事から帰ってちーちゃんのお世話も終わるころ、

三浦君からメールがきた。


指定のお店に行くと、すでに三浦君が待っていた。

てっきり飲み屋かと思ったけど、意外にもファミレスだった。


三浦「立花さん、こっちです。」


秋斗「お待たせしました。」


三浦「今日は来てくれてありがとうございます。絶対断られると思ってました(笑)」


秋斗「そうなんですか?じゃあ断ればよかった。俺は部長みたいに聞き上手じゃないから。」


三浦「立花さん、僕のこと警戒してますもんね(笑)この前ランチでカミングアウトしたときの反応でわかりました。」


秋斗「そんな警戒だなんて。してませんよ。」


三浦「そうですか?だって、立花さんの恋愛対象、男もありですよね?多分だけど。」


頬杖をついて、上目遣いで俺を見てくる。


秋斗「それはどうでしょうね。何でそうだと思うんですか?」


三浦「理由なんてありません(笑)ただ、今までの経験からの勘とでもいいますか。直感的に感じたんです。」


秋斗「なるほどね。俺の話より三浦君の相談を聞きに来てるんで。」


三浦「そうでしたね。それが…

実は結構ややこしいことになってて。

この前話した年上の彼女に正直に言ったんです。

束縛が苦しいから、もうつきあえないって。もっと安心してつきあえる人探してって言ったんです。

そしたら、浮気してるんでしょ!って逆ギレしちゃって。

だからスマホ渡して気が済むまで見てもらってようやく誤解は解けたんですけど。浮気でもない、他に好きな人がいるでもないのに別れる必要ないじゃないって。その日はそこで彼女帰っちゃって。」


一気に話すと、三浦君はジュースを飲み干した。


秋斗「何か飲み物とってくる?」


三浦「そうですね。ちょっととってきます。」


年上って一体何歳の人と付き合ってるんだろう。


三浦「おまたせしました。それでですね、どうしたらいいでしょう。」


秋斗「相手の年齢は?」


三浦「28歳です。彼女は結構本気で結婚を視野に入れてたみたいで。時間がないじゃないって。今さら別れるとかありえないでしょって、責めるんです。僕は付き合う前に、結婚は考えてない、恋愛がしたいだけって言っておいたんですよ。それで彼女も私もそうだって言ったから付き合ったのに。」


秋斗「なるほど…。いちを別れたいって意思は伝わったし、彼女も帰っちゃったなら、こっちからは一切連絡しないで様子をみてみるとか。で、彼女から連絡が来たら次どうするか考えたら?だって、三浦君の気持ちは言ったんだから。今時点でこれ以上三浦君からできることないもんね。」



三浦「確かに!冷静にそう言われるとそんな気もしますね。一方的に部屋から出てったし、連絡せずに様子みます!なんかスッキリしました。ありがとうございます!ちなみになんですけど…立花さんは今恋人もしくは好きな人とかいますか?」


なぜ急にその質問なんだ。

まあでも、嘘つくこともないか。


秋斗「すごく気になっている人はいますよ。」


三浦「へぇ~。」


また頬杖をついて上目遣いで俺を見てくる。

何なんだ?


三浦「じゃあフリーってことですね。」


秋斗「そうですけど何か?」


三浦「こんな美男子がフリーだなんて、勿体ないなぁ。」


秋斗「三浦君の相談事はもういいのかな?それなら俺はそろそろ帰りますよ。」


三浦「はい、いったんは大丈夫です。あっちから連絡来るまで、僕から何もせず様子をみてみます。ありがとうございます。ここは僕が支払いますから。」


秋斗「いや、ドリンクだけだし、俺が出すよ。先に外で待ってて。」


三浦「すみません、ありがとうございます♪」


二人でお店の裏の駐車場に向かった。

何だろう?相談ごとを聞いただけなのに、なんか会話のはしばしに違和感。


秋斗「じゃあ俺そっちだから。」


三浦「はい、あ、せっかくだから車までお見送りします。」


秋斗「え?いいよ、すぐそこだし。」


三浦「まあまあそう言わず(笑)」


車のドアの前まで行き振り返ると至近距離に三浦君がいた。


秋斗「ち、近いよ!危ないから。ドア開けたいから少し離れてもらえますか?」


俺がいい終えるのと同時に三浦君の両手が俺の顔に触れた。

一瞬何が起きたのか焦って固まってしまった。


もうその数秒後には三浦君の顔が迫ってきていた。

俺は我に返り三浦君を押し返した。


秋斗「やめなさい。何でこんなこと。」


会話の違和感はこれだったのか。

俺に気がある、のか?


三浦「立花さんが鈍感だからですよ!まったくもう。さっきの僕の仕草とか探りの入れ方で気づきませんでした?」


秋斗「ごめん、なんて言っていいか。そういうことなら俺は無い。三浦君のことは仕事関係の人としか思えない。」


三浦「いいですよ、今はそうでも。人の気持は変わりますから。」


秋斗「三浦君がどう受け取ろうと自由だけど、強引に触れようとしてくるのは見過ごせない。今後こういうことはやめてほしい。三浦君のこと、人間として嫌いになりたくはないから。」


三浦「もう、そんなに怒らないでくださいよ。わかりましたから。さ、車に乗ってください。」


秋斗「三浦君も気をつけて帰ってね。それじゃまた会社でね。」


もう三浦君とは二人きりにならないほうがいい。

今まで職場の人に俺の恋愛対象が男だって悟られたことなんかなかったのに。

曖昧に濁したし、会社で面倒なことにならないといいな。

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