第15話

「おい、てめぇ。」


「あぁっ?…んだよてめぇ。」


 結城先輩は不機嫌なオーラを発し、九鬼先輩も負けていない。


「俺はさぁやの兄貴だよ。」


「あ?あぁ、ウチに乗り込んできたイカれた奴か。」

「あ゙ぁっ?もう一回言ってみろてめぇ。」


 …俺、帰っていいですか?いいですよね、だって絶対流血沙汰に…



「…お前、もしかしてあの恭平か?レンさんとシュリさんのお気に入りの…」


「あ?誰から聞いた。」


「俺も、二人を知ってんだよ…」


「名前は?」


「九鬼だ。」



 眉間に皺を寄せた結城先輩が、九鬼先輩をじっと見て…



「黒髪のオールバックにピアス、それに薔薇のタトゥー…九鬼…聞いたことあんな。」


 一触即発の雰囲気で今すぐ逃げたいのに、それをすぐそばで見て殺気に気付かない沙耶ちゃんとこの上なく興味がなさそうな龍。



「……おい。」


「…ああ。同感だ……」


 えっと、何がですか?



「ここじゃあれだ、外行くぞ。」


「ああ。…さぁや、終わったら電話するから。」


「??」


「さぁや…男は、拳で語り合うことがあるって、前に教えたろ?」


「あ、うん。」


「これからこいつと殴り合ってくるけど、こいつが嫌いとか喧嘩って意味じゃないからな。」


「そう、男の勝負。」


 最初心配そうに首をかしげていた沙耶ちゃんは、


「うん、わかった!でもやりすぎないでね?二人ともがんばって♪」


 笑顔で2人を送り出した。




 …結城先輩、その歪んだ教育、沙耶ちゃんがちょっと心配ですι

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