第11話 幼馴染の愛と戦い
3日後
ヴァレンティア王国の国王が
他王国との交渉を終えて帰国途中に
魔王の四天王であるブラッドレイに
連れ去られたという緊迫した知らせが
レオとアレクシアの元に届いた。
国王の安否は不明で
危機感が二人の心に
重くのしかかっていた。
国王の身柄が危険にさらされていると聞いた二人は
すぐに行動を決意した。
レオは
「アレクシア様
王国を守るためにここに残ってください
国王の救出は俺が必ずやり遂げます」
決意を込めてアレクシアに言った。
アレクシアは頷き
「わかりました
感謝します、レオ殿
どうかお気をつけて」
と応えた。
国王が連れ去られた場所は
ダークフォレストと呼ばれる
不気味な森の奥にある隠れた砦であった。
そこは闇の魔力が満ちており
侵入者を拒むように濃い霧と
怪しい生物が徘徊しているという危険な場所だった。
レオは一人
王国を離れ
国王の救出に向かうこととなった。
レオが救出に向かってから3時間後
突如
ヴァレンティア王国郊外の農場で
アースドラゴンが現れた。
アースドラゴンは大地のエネルギーを
宿すドラゴンであり
地震や岩石を操って敵を
攻撃する恐ろしい存在だった。
農場で働いていた人々の中には
怪我人が出ているという知らせが入り
農場に向かう途中
王国の兵士たちが
「アレクシア様
私たちも同行いたします!」
と声を上げた。
しかし
アレクシアは振り返りながら強い声で叫んだ。
「わかりました、ですが!
農場の人々を救出したら
すぐに帰ってきてください
ドラゴンと戦うのは私一人です!」
その決意に兵士たちは一瞬ためらったが
アレクシアの強い意志に押されながらも
それでも現場に向かうことを決意した。
「私たちは農場の人々を救出します!」
と声を上げ
アレクシアとは別の役割を
果たすために動き出した。
「皆さん、安心してください!
私が必ずこの危機を収めます!」
彼女は馬にまたがり
急ぎ農場へと向かう。
アースドラゴンの強大な力を前にしても
アレクシアの瞳には恐れの色はなかった。
農場に到着した兵士たちは
倒れている農場の人々を手分けして救出し
安全な場所へ運び始めた。
アレクシアは国を守るために
レオが救出に向かう間
自分に与えられた役目を
全うする決意を固めていた。
現場に到着すると
アースドラゴンが暴れており
大地が揺れ
岩が飛び交っていた。
アレクシアはその巨大な姿を一瞬も恐れず
鋭い目で睨みつけた。
そして
馬から飛び降り
剣を抜いて一直線にアースドラゴンに向かって走り出した。
「ここで止めてみせる!」
ドラゴンの足音が響き
岩が砕ける音の中
アレクシアはまるで風のように
軽やかに駆け抜けていった。
アースドラゴンが大きな尾を振り下ろす瞬間
アレクシアは鋭い跳躍でその一撃をかわし
空中で剣を光らせた。
「今だ!」
ーーッキン!
しかし
アレクシアの攻撃は
アースドラゴンの厚い皮膚に阻まれ
剣は浅くしか通らなかった。
硬い鱗に弾かれるような衝撃が
アレクシアの手に伝わり
彼女は歯を食いしばりながら
再び体勢を整えた。
「なんて硬さ……!」
アレクシアは内心の焦りを押し隠しながら
次々と繰り出す攻撃がほとんど通用しないことに
苦戦を強いられていた。
アースドラゴンはその隙を突き
大きな爪で反撃を試みた。
大地の力を宿す巨大な敵に向かって
アレクシアは皮膚を切り裂くことに集中していた。
しかし!
アレクシアは
うっかりと危険なドラゴンの
目の前に出てしまった。
「しまった!」
その瞬間
アースドラゴンは最大のスキルである
『テラロアブレス』
を発動した。
激しい地鳴りと共に
地面から岩が吹き上がり
アレクシアに向かって襲いかかる。
「シールド!」
アレクシアは反射的にシールドを展開し
辛うじて直撃を逃れたものの
その衝撃で体が岩場に叩きつけられた。
「うあっ!」
強烈な衝撃により
一瞬意識が飛びかけたが
アースドラゴンはアレクシアにトドメを刺そうと
再び
『テラロアブレス』
を発動した。
地鳴りが激しさを増し
アレクシアに向けて巨大な岩が次々と襲いかかる。
しかし
その瞬間
アレクシアは防御が手薄になった
ドラゴンの隙を見逃さなかった。
「今こそ……!」
アレクシアは渾身の力で剣を掲げ
最大スキル
『ディバインラディアンス』
を発動した。
聖なる光が彼女の剣『セラフィム』を包み込み
ーーーーーーーーーーーーーーーーッズズズ!!!!!!
一気に突き進むように
アースドラゴンの胸部に向かって斬り込んだ。
光の剣は岩のように硬い皮膚を貫き
アースドラゴンは大きな咆哮を上げ
その巨体が揺れ動いた。
崩れゆく岩の巨人のように
ゆっくりとバランスを崩し
地面に倒れ込んだ。
大地が揺れ
岩が砕ける激しい音が響き渡り
アースドラゴンの全身が粉々になって崩れ落ちた。
アレクシアの勝利を確信したその時!
岩場に隠れていた兵士たちが
喜び勇んで飛び出してきて
アレクシアを囲んだ。
兵士の一人が急いで
回復アイテムを取り出し
アレクシアの怪我を治癒してくれた。
アレクシアが暖かい光に包まれると
その時だった!
「!」
アレクシアは身の毛も
よだつような殺気を感じた。
そして
一人の男がゆっくりと歩み寄ってきた。
その姿は暗闇から
現れたかのように徐々に明らかになり
アレクシアと兵士たちの前に突如として現れたのは
魔王の四天王の一人
ブラッドレイだった。
ブラッドレイの威圧的な存在感と暗黒のオーラが
辺りを包み込み
まるで時間が止まったかのような感覚が広がった。
兵士たちは恐怖で声を失い
その場で硬直し
全身に緊張感が走った。
兵士たちはその場で身を硬くし
全身に緊張感が走った。
「ほう
アースドラゴンを倒すとは……
やはり、貴様が女勇者アレクシア
で間違いないな」
ブラッドレイの低く冷たい声が響き
アレクシアは剣を再び握りしめ
鋭い目つきで彼を見据えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます