第11話 これから

「あーあー、聞こえますか。こちら紫吹ルカです」


──聞こえてるよ!


──ルカくんの声だああ


──おかえり!!!


「お、よかった。いやーさすがに4ヶ月ぶりだと喋るの慣れないな」


 うううううルカくんが喋ってるううう。


 久しぶりの配信に涙が止まらん。


 もちろん、おかえりコメも送った。


 コメント欄は、ルカくんの復帰を祝う言葉で埋め尽くされていた。


「みんなありがとう。今日は復帰配信ってことで少ししかできないけど、また明日からSNSも再開するし定期配信もぼちぼちやるから、楽しみにしてて」


──もちろん!


──どんだけ待ってたと思ってんだ。声が聞けるだけで満足だわ


──ルカくんの動画も配信アーカイブも全部見終わった!


「え、まじか。全部見てくれたのか。……嬉しい、ありがとな。活動休止中も俺のこと応援してくれてた人がいたから、こうして戻ってこられた。本当にありがとう」


 うううそんなの当たり前だよおお。


 こっちこそ戻ってきてくれてありがとうだよおお。


「そんじゃ、ぼちぼち話していくか。まずはそうだな、休止中何してたかっていうと──」


 それから30分ほど、ルカくんはいろいろな話をしてくれた。


 休止中何をしていたか、体調はどうなったのか、復帰のタイミングについてなど……。


 ざっくりまとめると。


 休止中はゆっくり休めた!


 体調は万全!


 タイミングはなんとなく!(適当だな……)


 って感じ。




「──お、時間が経つの早いな。んじゃ、今日はこの辺で終わるとするか。みんな、今日は来てくれてありがとな。また明日からよろしく。バイバイ」


──戻ってきてくれて本当によかった!


──改めておかえり!


──こちらこそありがとう……!


 はあああ終わっちゃった。


 余韻が凄く残ってる。


 推しの活動休止も復帰も、今までは他人事のように考えてた。


 でも、実際に自分が経験すると、とんでもない感情に襲われることがわかった。


 戻ってきてくれて本当によかったなあ。


「──ぁ。──ぉ」


 !?!?


 これはまさか!?


「──ぁ、緊張したぁ」


 きたあああああ! 4ヶ月ぶりのギャップ萌え配信!


──うおおお激アツ展開


──念の為残ってたらやっぱりきたw


──ルカくん緊張してたのにたくさん喋ってくれたんだね……


 コメント欄も湧いてますね。うんうん。


「みんなすげぇコメントしてくれてたなぁ。ホントよかった」


──もちろんするに決まってる


──やっぱ不安だったよね……


「これから何しようか……。ゲーム配信と雑談配信……あとギターもやるか。歌の練習もしたし」


──歌の練習!?!?


──さっきの配信では言ってなかったぞ


──コソ練ってやつか


──楽しみ!!!


「ずっと待たせてたわけだし……みんなが楽しく見れるような内容考えないとな。ふふ、楽しみだ」


 ルカくん……楽しそう。


 いろいろあっただろうけど、またこうしてルカくんの楽しそうな声を聞けて、こっちも嬉しい。


 チャリン!


 おっと、つい投げ銭をしてしまった。


 すると、私に続いて他のリスナーたちも投げ銭をし始めた。


 あらら、そんなに投げると──


「……ん? 投げ銭の音?」


 あっ、やっぱり。気づいちゃったか……。


「って、配信切れてなかったのか! うわー久しぶりにやらかしたな俺!」


──いつものルカくんが戻ってきた!


──そんなルカも好きだぞ


──投げ銭の量えぐいw


「こ、こんなに投げ銭が……。ふふ、みんなありがとな。嬉しい」


 素直に喜ぶルカくん、可愛い……!


「本配信でも言った通り、復帰するのめっちゃ不安だったけど、みんながずっと待ってくれて、こうやって温かく迎えてくれたから、俺、今めっちゃ安心してる」


──ルカくんが戻ってきてくれただけで嬉しいから!


──よかった


──全然いつまでも待てた!


「ふふ、ありがとう。まだまだ未熟な俺だけど、これからもみんなを楽しませられるよう活動頑張るから。よろしくな」


──もちろん!!


──楽しみにしてる!


──頑張れよおおお


「それじゃ、また明日。おやすみ。いい夢見ろよ」


 !!!!!


 最後のイケボはずるいって!


 耳元で囁かれた!


 心臓がもたない!!!




 配信終わっちゃったけど、余韻が凄い。


 今夜はルカくんの声を脳内再生しながら寝るしかない。


 いや、今日は寝られなさそうだな……。


 ルカくんが復帰したことを実感しながら、これからの活動を楽しみに待とう。


 さぁ、明日はどんなルカくんが見られるかな?



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