take take —てくてく―
木目ソウ
第一章 メイドとして働こう♡
第1話
この世界では今、大きな戦争をやっているのだが、兵力として価値の低い女の子は、どこかに捨てられたり、臓器を抜かれたり、奴隷として売られたりする。
けれど、もうそろそろ戦争は終わるとか、耳の遠い老人には、平和の足音がかすかにきこえるらしい。
そんな前置がありながら、これは違法の奴隷館で買われるのを待っている少女の話。
その奴隷館は、人目が届かない、山の奥にあった。
奴隷館といえどランクがつけられており、低品質の奴隷が集まるとこ、高品質の奴隷が集まるとこなど階級が分けられているのだが、
ここは、その低品質の奴隷館の中でも、更に低ランク、最下級の奴隷館であった……。
奴隷番号「16」は、暗い部屋で空腹に耐えていた。
彼女は今日も何も食べていない。16は要領が悪く、頭も悪く、見た目も汚く……ともかく他の奴隷よりも遥かに劣ったその少女は、皆から忌み嫌われていた。そのため、とてもたいへんな、調理当番をよくおしつけられる。なのに、作ったご飯は食べられない、なんてことはざらであった……。
あと、目つきも悪かった。その目つきは子供たちにヘビに例えられる。
「あの子と目を合わせたら、夢にヘビが出てくるわ。不気味な目……。夢って基本的に鮮やかな色がないけれど、あの子の目はクッキリ赤く浮かび上がってくる、印象的な、忌々しい目だわ……」
そんな、ヘビの目と揶揄する目を持つ少女は、今晩も空腹のお腹をさすっていました。
ぐぅううう……
お腹が鳴ると相部屋の奴隷が舌打ちをするので、「静まりなさい、私のお腹!」(¯―¯٥)と強く祈った。それから、メロンパンたる甘味兼パンを食べたいとも……。
その晩、16はメロンパンに押しつぶされ圧死する夢をみた。
次の日、トイレ掃除を押しつけられた。
今日も今日とてご飯を没収された16。
空腹をなんとかするため、森に行く予定であった。
森には小型の草食獣が食む、食用草が群生している。それから、16は人と仲良くなる方法を知らなかったが、なぜか動物には好かれ「ボクの木の実をおたべ( 。・_・。)っ」とよく食べ物をわけてもらえる。森に行けばなにか食べられるだろうと思った、その矢先にトイレ掃除をおしつけられた。
文句を言いたかったけれど、子供たちは、楽しそうに遊んでいるので、強くいえない。
職員たちは……16のことに気づいているが、知らんぷりをしている。
仕方なく16はトイレ掃除を始めた。
便器をこすっていると、上から大量の水がふってきて、16をドブネズミにし、子供たちの笑い声が遠ざかって行った……。
「ヒッグヒッグ……」( ;꒳; )
(わ、私が何をしたというのよ!)
※床がびしょ濡れになったため、用務員のおじさんにこっぴどく叱られました。
お腹がすきすぎて幻覚が見え始めたので、ベットの脚でも齧ってみようかしら? 塩でもかければ美味しいかもしれません! と思っていたら相部屋の14が話しかけてきた。
「16」
「あら、14」
「これあげる」
「わぁおいしそうなトマト……」(*´﹃`*)ウマソウネ……
「私、犬を飼いたいの」14と呼ばれた奴隷の少女は、トマトを床に放り投げて踏みつぶしてしまった……。「ホラ、16。犬のようにペロペロ這いつくばって食べろ」
「……!
あ、ありがとう。せっかくなので食べます……」(ᐡ• ﻌ • ᐡ )。ペロペロ……
「アハッ♡本当に這いつくばってる!
ホラ16。今日から私がご主人様よ♡...*゜ワンワンいいながら食べなさい〜♡」
「ワン……ワン……」((>_< ;))オエッ……
空腹であった16は、吐き気に耐えながら、なんとかトマトを食べました……。14はそんな16の頭を踏みながらケラケラ笑っていました……。
基本的にこの最低品質の奴隷館に住む子供たちは、大人になれば、どこかの街に身体を売りに行き、兵士と富裕層を癒す売春婦になる。けれど、時々例外として、身売り前にお金持ちが買い付けにくることがある。この奴隷館にサンタクロースのオジサンは来ないが、しかし、だれかしらオジサンが来れば、子供たちはソワソワしだすわけだ。
そして、オジサンではないが、とあるお金持ちが高級な黒い車に乗って、奴隷館にやってきた。
ある日、16は館の支配人に呼ばれた。
またなにか子供たちが悪さをし、その濡れ衣を着せられたのだろうかと16は警戒しながら支配人の部屋にいったけれど、特に心配するようなことはなかった。
部屋には、支配人といっしょに、16と同い歳くらいの少女がソファに座っていた。足をガラステーブルに投げ出し、くわえたタバコからポクポクと煙を吐きながら、つまらなさそうに、書類に目を通している。
((っ'ω'c)マッ
子供なのにタバコなんて高い物を吸っているわ!
でも、なんて美しい女の子かしら……こんなに美しい子、館ではみたことがありません。新しく来た子ではなさそうね)
14はそんなことをおもうと、
(ほんとに人間かしら? どこか機械作りにみえますね)
そんな疑問符つきの感想をつけ加えた。
「セシリア様……ほんとにこのような最下級の奴隷でよろしかったのですか? 末端館ではありますが、ウチにももう少し品質の良いものが」
「おいオマエ」ぷはぁー。少女は煙を吐き出すと、まだ火の残っているタバコを灰皿に放り込み、16をにらみつけた。
「あ、ハイ……」(この子、館主様を無視するなんて命知らずね。晩ご飯抜きになって、お尻を叩かれてしまいますよ?)16の心配をよそに、支配人は無表情でした。……むしろ、怯えを孕んだ土気色のようだった。
「クク……そんなに固くなるでない」少女は、見た目ににあわぬ、妖艶な仕草で口元に指をあて、笑う。そして「さて。なにか、ワガハイを楽しませる芸をみせろ」
「∑(๑º口º๑)!!ナント!?」
「何をしている? さっさとせぬか」
「え、え〜っと」16は支配人の顔をみた。
(´ρ`*)コホン
「16よ。この方はセシリア様といってな……有名な重工業都市の領主をされておる方なのジャ。そんな方がオマエに目かけ、購入を考えてくださっておる。けっして失礼な態度を取らぬようにノ」
(どっからどーみても私と同い歳くらいの女の子だけど、人は見かけによらないものね〜( ´ㅁ` ;))「わ、わかりました! では、記憶の中に朧げにある、母が踊っていた『夕暮れフラミンゴの舞い』をお見せいたします!」
「フム、興味深い。踊ってみたまえ」
«٩(*´ ꒳ `*)۶»ワクワク
〜•*¨*•.¸¸♬︎
「(ง ˙ω˙)วズンチャカズンチャカ」
「ムムッ」
「(((└( 'ω' )┐)))ドンドンチャカチャカ」
「(`・ω・´)ほう」
「ふらヽ(・∀・。)ノフラッヽ(。・∀・)ノフラッッヽ(・∀・。)ノ 」
「こ、∑(°∀°)コレハァ!!」
✧\\ ٩( 'ω' )و //✧フ〜ラミンゴ〜!!!
決めポーズと共に音楽は鳴り止んだ……。
(*´꒳`ノノ゙パチパチ
セシリアと呼ばれた少女は拍手をしていたが、支配人の顔は、この世の終わりでもみたかのように青ざめていた……。
「ウーム、率直な感想としては……下手じゃなw」
「ガーΣ(`・ω・Ⅲ)ーン
じ、じゃあ私は殺処分ですか?!」
「いや? まぁ買うとしよう。おい契約書を持ってこい」
「∑(๑º口º๑)!!ナント!?
ハイ! ただいま!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます