TWO
第5話
昨日はキャバ帰りに隼人さんと合流したからドレスとバックがある。
さすがにコンパに持ってくのは重いから隼人さんの家のベッドの脇に畳んで置いた。
「隼人さんこれ置いてかせてもらいますけど他の女に間違って持たせたりしないでくださいよ?」
隼人さんには他にもこうやって家に来るような女がたくさんいる。
考えただけで嫉妬心がじわりと心を侵食した。
あたしのように隼人さんに想いを寄せる女があと何人いるのだろう。
他の女の人も分かってるから私物があったりしても何も言わないし詮索もしない。
「わーかってるよ。そのままにしとく」
そういって身支度を終えた隼人さんはキャデのキーを持ち玄関へと歩いた。
「送ってやるからはやくしろよ」
あたしはこのお兄ちゃんみたいな優しい男が大好きだ。
深紅の鯉が入った肌も悪戯彫りだらけの手も。
この人がどんなに悪名高くてもパクられるようなことしててもあたしに優しいのは変わりない。
そんな優しさをみせられるとどんどん抜け出せなくなってしまう。
この人にはこの想いを知られてはいけない。
知られたら、この関係は終わってしまうのだから…。
だから、あたしは今日も興味のないフリを演じる。
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