第5話 初めてのファン⁉ 猫耳アイドルに届いたエール!
リリカの異世界での生活も少しずつ安定してきた。
アイドル活動と魔法の特訓の両立は大変だったが、リリカは毎日新しいことを学び、少しずつ成長している実感があった。
そんなある日、初めてのファンイベントに参加することになった。
「リリカ様、今日のイベントではファンの皆さんと直接お話しする機会があります。緊張するかもしれませんが、皆さんリリカ様を応援しているのでリラックスして楽しんでくださいね」
レオンの優しい声に励まされ、リリカは頷いた。ファンイベントというのは、彼女にとって全くの初体験だった。
異世界に来る前は、アイドルの存在すら自分とは無縁のものと思っていた。
それが今や、自分がアイドルとして応援される立場にいるのだと思うと、不思議な気持ちがした。
会場には既に多くのファンが集まっていた。
リリカはステージの袖からその光景を見て、胸が高鳴るのを感じた。
観客席にはリリカの名前が書かれたボードや猫耳のアクセサリーを身につけた人々がいて、皆が彼女の登場を心待ちにしているようだった。
「すごい……私を応援してくれる人が、こんなにたくさんいるんだ」
リリカは少しずつ自信を取り戻し、深呼吸をしてステージに出た。
観客からは大きな拍手と歓声が湧き上がり、その瞬間、リリカはこの場所に立てる喜びを全身で感じた。
「皆さん、こんにちは! 猫耳アイドルリリカです!今日は来てくれて本当にありがとうございます!」
リリカの挨拶に、会場のファンたちは更に大きな声で応えた。
リリカはその反応に少し驚きながらも、自然と笑顔になった。
今日はファンとの交流をメインにしたイベントということで、ステージ上でファンの質問に答えたり、簡単なゲームをしたりすることになっていた。
最初の質問タイムでは、ファンから様々な質問が飛び出した。
「リリカ様の好きな食べ物は?」「特訓で一番大変だったことは?」「今後の目標は?」
など、どれもリリカにとっては新鮮な質問ばかりだった。
リリカはその一つ一つに真剣に答え、ファンとの交流を楽しんでいた。
そんな中、ある少年が手を挙げて質問をした。
「リリカ様のステージを見てると元気が出るんです。リリカ様は、どうしてあんなに楽しそうにステージに立てるんですか?」
その言葉に、リリカは一瞬言葉を失った。
「そう、私は楽しそうに見えるの?みんなが自分をどう見てるかなんて、考えたこともなかった」
少年の気持ちにすぐに答えられず戸惑うリリカ。
だが、次の瞬間、心の中に浮かんだ素直な気持ちを口に出した。
「ありがとう。私も最初はすごく不安だったんだ。でも、ステージの上でみんなが笑顔で応援してくれるのを見たら、自然と楽しさが湧いてきたの。私も、皆さんの応援があってここに立てているんだと思うよ。」
リリカの言葉に少年は小さく頷き、その姿を見て心の中で少しでも彼の力になれたことを感じた。
ステージに立つことの意味が、ただ自分が輝くことではなく、観客と心を通わせることだということを改めて実感した瞬間だった。
その後もイベントは順調に進み、リリカはファンとの交流を楽しんだ。
最後には、リリカの新曲が披露された。リリカは胸を張って、自分の歌声を会場に響かせた。
ファンの応援が力となり、リリカの歌はこれまでで一番の出来だった。
観客からの拍手と歓声に包まれ、胸が熱くなるのを感じた。
イベントが終わり、リリカは控室に戻ってきた。メルヴィルとレオンが迎えてくれ、メルヴィルは満足そうに頷いた。
「今日は本当に良かったわ、リリカ。すばらしい成長ぶりよ。」
「はい、メルヴィルさんとのファンの皆さんおかげです。私、もっと頑張りたいです。」
リリカの中には新たな決意が芽生えていた。
この国でアイドルとして、そして魔法使いとして、自分ができることを精一杯やりたい。
まだまだ道のりは長いが、一歩一歩進んでいけば必ず夢は叶うはずだと信じていた。
イベントの後、リリカは控室で一人になった時、ふとあの少年のことを思い出した。
彼の言葉が心に響き、自分が誰かのためになれていることの喜びを噛み締めた。
鏡に映る自分の姿を見つめ、猫耳を触りながら誓った。
「私、もっともっと頑張るから。みんなに元気を届けられるアイドルになるんだ。」
そう呟くリリカの目は、強い決意に満ちていた。
異世界での挑戦は続く。これからも仲間とともに成長し、ステージで輝き続けることを心に誓いながら、新たな一歩を踏み出しのたのだった――。
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